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官僚がそれぞれの良識や見識などに基づいて判断せずに、可能な限り頭の中を空っぽにして上司の「命令」に粛々と従う―。藤井聡京都大教授は著書「〈凡庸〉という悪魔」で、官僚主義をそう定義している

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組織に官僚主義がはびこれば不正に手を染めるのもいとわなくなる。県北安曇地方事務所の林務課はどんな組織だったのか。大北森林組合の補助金不正受給事件に職員が関わった。未実施の工事にも補助金の交付手続きをする「闇繰り越し」を重ねていた

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本庁の関わりはあったのか。事件の公判で地事所職員は予算を「使い切る」ために林務部担当者から強い圧力が掛かり、消化の方法も示唆されたと受け取れる証言をした。「穴埋めするんだろうな」。予算消化できない恐れが生じた時に言われたという。事実ならば問題の根は深い

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経営トップが現場の実情と懸け離れた目標を設定、部下が会計を不正に操作して巨額の利益を水増しした。東芝の不正会計だ。部下が上司に逆らえない企業風土にも原因があったと指摘される。道半ばとはいえ企業体質の改善や組織改革に取り組んでいる

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現場の声を聞いて官僚主義を拭い去らなければ市場の信頼は取り戻せないのだろう。大北森林組合の事件も、組合と出先組織だけに責任を負わせて落着するとは思えない。虚心坦懐(たんかい)、問題の根を掘り起こさねば県民の不信は解消されまい。

(9月16日)

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