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リチウム電池を高容量化へ 信大チームなど実証

 信州大カーボン科学研究所(長野市)の遠藤守信特別特任教授らの研究チームが、リチウムイオン電池の高容量化につながる材料技術を韓国・サムスン電子傘下のサムスン日本研究所(横浜市)と共同開発した。次世代リチウムイオン電池の電極材料として注目されるシリコン材料を負極に使い、安定して充放電を繰り返す手法を実証。家電や電気自動車(EV)向けにリチウム電池の容量が現在の2倍程度に向上する可能性がある―としている。

 遠藤教授が16日、信濃毎日新聞の取材に答え、成果をまとめた論文が国際科学誌「ジャーナル・オブ・パワーソーシィズ」の電子版に掲載されたと明らかにした。リチウムイオン電池はスマートフォンやパソコン、EVなどに幅広く搭載され、各製品の高機能化に伴って容量拡大や長寿命化のニーズが高まっている。サムスングループは同電池の世界大手。

 リチウムイオン電池は電解液で満たした正極と負極の間をリチウムイオンが行き来して充放電する=図。遠藤教授によると、カーボン(黒鉛)を負極材料として使う既存の電池は、イオンを負極に蓄える量が限界に近づきつつある。

 このため研究者やメーカーは新たな負極材料として、イオン貯蔵容量が理論上、カーボンの10倍程度のシリコンに注目。ただ、シリコンはリチウムイオンを蓄えて充電状態になると体積が3、4倍に膨張し、放電すると収縮する特性がある。繰り返し使うと電極が傷み、電池が急速に劣化するのが課題となっている。

 遠藤教授や信大カーボン科学研究所の竹内健司准教授、サムスン日本研究所は、シリコン材料の膨張、収縮の制御法としてカーボンを使い、2013年に研究を開始。100ナノメートル(1ナノは10億分の1)程度の細かい粒子状にしたシリコンをカーボンで被膜し、粒子群をさらにカーボンで覆う負極の電極構造=図=を考案した。実験では、既存の黒鉛に比べ3倍の貯蔵容量が確認でき、膨張は7%弱に抑えることができた。500回充放電を繰り返しても劣化は実用可能な程度にとどまった。

 遠藤教授は「シリコンとカーボンを適切な比率で配合した電極構造によって、シリコンの膨張を制御できた」と説明。高容量の負極が実用化すれば、電池の高容量化、長寿命化に貢献できる―としている。

(9月17日)

長野県のニュース(9月17日)