長野県のニュース

憲法の岐路 公明山口代表 加憲論の危うさ自覚を

 山口那津男公明党代表の続投がきょう17日の党大会で正式に承認される。安倍晋三首相が任期中の改憲を公言する中での難しいかじ取りになる。

 これまで掲げてきた「加憲」論に頼るだけでは、改憲路線に取り込まれる心配が否定しきれない。向こう2年の任期は党と代表の真価が問われる時になる。

 公明はこのところ「改憲勢力」の一角と見なされることが多い。首相が年始のNHK番組に出演したときの次の言葉が、一つのきっかけになった。

 「与党だけで(参院の)3分の2は大変厳しい」「自民、公明以外にも、おおさか維新もそうだが改憲に前向きな党もある」

 公明党は9条改定に慎重姿勢を保つ一方、「加憲」を基本政策の一つに掲げてきた。加憲とは、憲法の骨格は変えないで環境権など「新しい人権」を書き加えようという立場である。

 首相は折に触れ、改憲への意欲を語っている。参院選後の記者会見では「わが党の(改憲)案をベースにしながら、どう3分の2を構築していくかが政治の技術だ」と踏み込んだ。

 公明の「加憲」論は、改憲発議に必要な3分の2の議席確保を目指す首相に格好の手掛かりを与える形になっている。

 首相の前のめり姿勢には公明党も戸惑っているようだ。山口代表は参院選後の与党党首会談で「国会で落ち着いて議論を深めていくべきだ」と述べている。

 こうしたけん制球も、首相にどこまで通じるか分からない。

 公明が「平和と福祉の党」を名乗るからには、首相の改憲路線に対するブレーキの役割を強化する必要がある。「加憲」というあいまいな姿勢では心もとない。

 公明が加憲項目の柱とする環境権も、憲法や環境法の専門家の評判はあまりよくない。

 憲法に環境権を盛り込むだけでは国民の「よい環境を享受する権利」は保障されない。ちょうど憲法25条の生存権が実際には軽んじられているように。それより環境基本法を定めるのが先決、と。

 安倍政権は憲法学者の意見を無視して解釈改憲に踏み切り、安保法整備を強行した。公明は与党として一翼を担った。

 公明の「加憲」論は9条改定への露払いになる危険をはらむ。そのことに無自覚なままでは、国民の信頼は失われる。

(9月17日)

最近の社説