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江戸幕府を仕切ったのは「老中」、藩では「家老」、大相撲では「年寄」…。それぞれの呼び名に「老い」への敬意が感じ取れる。儒教社会で重んじられた長幼の序、敬老精神である。年を重ね経験を積むほど高い見識を備える―と

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今年から純銀製がメッキに変わった「銀杯」も、担当者にしてみれば腫れ物に触る思いだったろう。敬老の日に合わせ国が100歳の人に贈る記念品だ。1個約7500円の費用を半分に抑え、余る分も翌年使えるように刻印を変えた

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このために厚生労働省は税金の無駄遣いをチェックする会議にかけ、有識者から「抜本的な改善」とのお墨付きを得た。事業費は祝い状を含め3億円足らず。出席者から「この程度は省内で責任を持って決めてほしい」との意見が出たというのも当然だ

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事業の始まりは老人福祉法ができた1963年。目的を「社会発展への寄与に感謝する」とうたう。当時の100歳以上は153人と希少だった。ところが今年の対象者は3万1747人と200倍余りに急増。今後もこの傾向が続く

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市町村でも祝い金の減額が相次ぐ。県は額の贈呈をやめ、祝い状だけにした。だが高齢者1人を現役世代1・3人で支える将来に向け「まだ手ぬるい」との声も。一方で「重箱の隅をつつくより大きな無駄にメスを」との批判もある。敬老をどう表すか。たかが銀杯されど銀杯である。

(9月17日)

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