長野県のニュース

御嶽山噴火「忘れないで」 思い託すヒマワリ

献花台脇でヒマワリを世話する所清和さん=18日午前10時49分、王滝村献花台脇でヒマワリを世話する所清和さん=18日午前10時49分、王滝村
 2014年9月27日の御嶽山噴火災害で、次男とその婚約者を失った愛知県一宮市の会社員所清和さん(54)と妻の喜代美さん(54)が今年、麓の木曽郡王滝村でヒマワリを育てている。昨年、所さんが村内の王滝小中学校で講演した際、種をもらったのがきっかけだ。ヒマワリの花で2人を思い出し、災害の記憶を忘れないでほしい―という願いを込めている。18日も激しい雨の中で作業をした。

 所さん夫妻の次男祐樹さん=当時(26)=と、その婚約者丹羽由紀さん=当時(24)=は、下山途中に噴火に巻き込まれ、2人で寄り添うように亡くなった。夫妻は噴火後、由紀さんの父親から「娘はヒマワリのように元気で明るい子だった」と聞いた。由紀さんの母親にもらった写真の中には、噴火前の14年8月、滋賀県にあるヒマワリ畑で記念撮影した2人の仲むつまじい姿が残っていた。

 昨年9月、所さんは王滝小中学校で講演した際、そのエピソードを紹介。噴火を忘れないように「村をヒマワリでいっぱいにしてほしい」と語った。その思いをくみ取った相渡(あいど)弘校長(59)が講演後、ヒマワリの花と種を所さんに贈った。

 所さん夫妻は今春から、村内の献花台の脇や御嶽山を望む湖岸道路など5カ所に種や苗を植えた。1カ月に1、2回のペースで訪れ、花壇の前で土をいじり、水をやり、大輪の花を咲かせた。向かい合って咲く花を見つけると「祐樹と由紀ちゃんみたいだね」と、夫婦で言い合った。

 花が重しとなって折れそうになっていた茎を、ひもや棒を使って支えてくれる村民の心遣いにも気付いた。喜代美さんは「最後に2人が過ごした王滝村がヒマワリのような明るさを取り戻してほしい」とも願うようになった。

 18日、噴火当日に2人が歩き始めた登山口のある田の原の献花台。噴火2年となる27日前後に咲くようにと、育てているヒマワリを確かめた。標高2千メートル超の冷涼な場所で、細長い茎は風雨に耐え、つぼみは着実に大きくなっていた。所さんは「どんな環境でも精いっぱい生きている。前向きにならなくちゃ。悲しんでいても子どもは喜ばない」と教えられた気がした。

 近く感謝の思いを伝え、来季育てる種を受け取りに王滝小中学校を再訪する。

(9月19日)

長野県のニュース(9月19日)