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燃費不正防止 消費者も目を光らせたい

 三菱自動車とスズキの燃費不正問題を受けた国の再発防止策がまとまった。

 メーカーが燃費データを偽って申請した場合、国が自動車の生産を停止させる措置を導入し、30万円以下の罰金の対象にする。メーカーが行う走行試験も抜き打ちチェックする。国土交通省が施行した改正省令に盛り込まれた。

 これまで虚偽申請の罰則が明文化されておらず、三菱自に国は厳重注意しかできなかった。三菱自が生産や販売を停止したのは自主的な判断にすぎない。

 自動車の燃費性能は、消費者が自動車を購入する際の重要な判断基準だ。実際より燃費性能をよく見せ掛ける不正は、消費者に対する重大な裏切り行為になる。同じような不正が二度と起きないようにしなければならない。

 今回の改正省令だけでは心もとない。メーカーが悪意を持ってデータを改ざんした場合、国が見抜くことは不可能だろう。膨大な車種の全ての燃費データを検証するのも現実的ではない。

 三菱自の燃費不正は、提携先の日産自動車の指摘で発覚した。日産が供給を受けた軽自動車の燃費を測定すると、国の認証を受けた数値と懸け離れていた。発覚したのは偶然ともいえる。

 三菱自は過去10年間に販売した全車種で不正を行っていた。問題発覚後に9車種の燃費を再測定した際にも、国の指導と異なる方法で測定していたことも判明した。体質の改善は容易でないことは明らかだ。

 自動車業界では、燃費性能を巡る競争が激しくなっている。若者の自動車離れなどで市場全体の売り上げも伸び悩んでいる。三菱自の不正の背景には、環境性能が売り上げの動向に直結するという重圧があった。

 1年前には、ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が米国などの排ガス規制を逃れるため、違法ソフトウエアを搭載していたことが明らかになっている。業界には不正に手を染めかねない土壌がある。

 各メーカーは今回の不正を人ごととせず、消費者と真摯(しんし)に向き合うことを忘れていないか、再確認するべきだ。

 不正を認めない社会を築き上げることも必要だ。本年度中には、実際の走行状況により近い燃費性能を示す測定方法が導入される。特別の測定機器がなくても、ユーザーが日常的に車を使う中で燃費をチェックしやすくなる。消費者も不正に目を光らせたい。

(9月20日)

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