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安保をただす 関連法1年 運用を当然視できない

 安全保障関連法の成立から1年が過ぎた。

 政府は新任務の実動訓練を始めるなど運用に動きだしている。

 国民の幅広い支持を得ることなく定められた法律である。きのうは各地で抗議の集会などが行われた。反対の声はなお強い。運用を当然視することはできない。

 1年前の国会運営は乱暴極まりないものだった。参院の特別委員会は締めくくり質疑を行うことなく審議が打ち切られ、本会議では採決に先立つ討論が各党15分以内に制限された。審議を尽くしたとはとても言えない。

 集団的自衛権の違憲性をはじめ問題点は残ったままだ。政府は国民に理解されるよう努力すると言いながら、実際の振る舞いは全く逆だった。反対論が再燃し、今夏の参院選に影響するのを避けようと表立った動きを控えてきた。

 一方で見過ごせないのは、自衛隊と米軍との一体化が加速していることだ。先週は、北朝鮮による核実験への対抗策として米太平洋軍がグアムから朝鮮半島に派遣したB1戦略爆撃機と自衛隊機が訓練を行った。安保法の下、共同行動がさらに広がるのではないか。

 稲田朋美防衛相は、カーター米国防長官との会談で自衛隊と米軍を一体運用するための「同盟調整メカニズム」活用の必要性を申し合わせた。ワシントンでの講演では、中国が軍事拠点化を進める南シナ海への関与を日米で連携して強める考えも示している。

 安保法制定と同時進行の形で改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)は、米軍との協力を地球規模に広げた。自衛隊の海外任務がなし崩しに拡大することへの不安が募る。臨時国会で改めて議論する必要がある。

 差し当たっての焦点は、国連平和維持活動(PKO)での新任務だ。武装集団に襲われた国連職員らを武器を使って助ける「駆け付け警護」や他国軍との宿営地の共同防衛が可能になった。

 11月に南スーダンPKOに派遣される予定の部隊が実動訓練を始めている。新任務を付与するかは現地の治安情勢や訓練の習熟度などを見極めて判断する。

 南スーダンでは内戦状態が続いてきた。安定の兆しも見えたものの、7月に再び戦闘が起き、多数が死亡している。そもそも派遣できる状況なのか疑問がある。運用の実績づくりのため、新任務を急ぐことがあってはならない。

(9月20日)

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