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「障害者で良かった。脳性まひで良かった」。閉幕したリオ・パラリンピックで最も印象に残るコメントだ。ボッチャ日本代表チームの藤井友里子さん。予想を覆して決勝に勝ち上がった時に口をついて出た

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ボッチャはボールを投げたり転がしたりして目標球にいかに近づけるか競う。重度の脳性まひなどがある障害者のために生まれたスポーツだ。脳性まひは筋肉に負荷がかかると障害が進む―。藤井さんら選手は筋力や体幹を鍛え、そんな固定観念を覆した

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主将の杉村英孝さんの言葉もいい。「脳性まひ者にはスポーツを諦めている人が多い。アスリートとして世界の舞台で戦えることを知ってもらえた」。県内では東御市を拠点に普及活動が続いている。リオ大会前には名前さえ知られていなかった。これを機会に裾野が広がるといい

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固定観念とは〈ある人の心中に潜在して、つねに念頭を離れず、外界の動きや状況の変化によっても変革することが困難である考え〉(小学館「日本国語大辞典」)。障害者に抱いてきた固定観念こそ打ち破るべきなのだ。パラの躍動はそれを教えている

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かつては家に閉じこもっていた藤井さんはボッチャと出合って新しい世界に踏み出した。日本代表チームは決勝で王者タイに敗れて銀メダルだった。藤井さんは「まだ上がある。次は金メダルを取りたい」。4年後の東京を見据えている。

(9月21日)

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