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パラリンピック 裾野広げる取り組みを

 障害者スポーツの競技力が飛躍的に向上していることを印象づける大会だった。身体の可能性の限界に挑み、全力を尽くして競う選手の姿に、スポーツが持つ力を五輪以上に感じ取った人も多いのではないか。

 リオデジャネイロのパラリンピックが幕を閉じた。世界記録が200以上も生まれている。陸上競技では五輪の優勝記録を上回った種目もある。

 日本選手はメダル24個を獲得したものの、金メダルは初めてゼロに終わった。世界の競技力の水準が、思った以上に高まっていることの現れだろう。

 だからといって、がっかりしたというのではない。勝つために競い合うのがスポーツだが、結果がすべてではないと実感させられる場面がいくつもあった。

 日本の選手に限らない。卓球では、両腕がないエジプトの選手がサーブの球を足で上げ、口にくわえたラケットで打ち合った。陸上の走り高跳びでは、片脚の選手が見事な跳躍を見せた。

 五輪と同じ都市での開催が定着し、競技水準が向上して、パラリンピックは注目度を高めてきた。それは障害者スポーツの普及に結びつく一方で、五輪と共通する弊害を招いてもいる。

 各国のメダル獲得競争は激しくなり、スポーツビジネスが進出して一部の有名選手は高収入を得るようになった。そのことが、ドーピング(禁止薬物の使用)などの不正にもつながっている。

 ロシアは、パラリンピック競技でも禁止薬物の使用を隠蔽(いんぺい)していたことが明るみに出て、リオ大会から全面的に締め出された。英国で陸上選手の障害区分を偽る不正が数年前から横行していた疑惑も大会前に発覚した。

 不正がはびこれば、スポーツの価値はゆがめられ、パラリンピックへの信頼も損なわれる。危うさが顕在化した現状に向き合って、地歩を固め直す必要がある。

 4年後の東京大会、さらにその先を見据えて、日本の課題も多い。競技力向上を目指す選手への支援を充実させるとともに、裾野を広げる取り組みを強めたい。

 障害者がスポーツに参加する機会は、日本では依然少ない。床に傷がつく、事故に対応できない、といった理由で、施設利用を断られることも多いのが実情だ。

 日常的にスポーツに親しめる環境をどう整えていくか。開催都市の東京や国だけでなく、それぞれの地域で自治体などの積極的な取り組みが欠かせない。

(9月21日)

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