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自民総裁任期 延長ありきの茶番では

 安倍晋三首相の「1強」ぶりを改めて浮き彫りにする展開だ。

 自民党が「連続2期6年まで」と党則で制限している総裁任期について、延長に向けた議論を始めた。

 党が定めるルールである。だからといって、党内で話し合って決めればいい―と単純に片付けることはできない。首相の在任期間につながる。党員以外の国民にも関わる問題だ。

 党・政治制度改革実行本部の役員会で方針を確認している。延長自体には異論が出ず、任期を延ばす方向になった。「3期9年」への延長か、制限の撤廃を軸に検討する。役員会で論点が整理されれば、全議員が参加できる実行本部会合に議論を引き継ぐ。

 本部長の高村正彦副総裁らは来年の党大会での党則改正を目指している。役員会は党内全8派閥や無派閥の議員で構成した。異論を抑えるためだろう。

 3選禁止のルールは1980年に設けられた。佐藤栄作元首相が連続4期務めたことへの批判などから党則を変えた。過去には中曽根康弘首相が86年の衆参ダブル選挙での圧勝を追い風に特例で1年延長を認められている。

 今回は特例にしないことを役員会で確認した。表向きは安倍首相のための任期延長ではない体裁を取っている。先進7カ国の議院内閣制の国で主要政党の党首は任期が制限されていないといった点を延長の理由に挙げる。

 一般論としての総裁任期の在り方を強調してはいるものの、狙いが安倍首相の続投にあるのは明らかだ。もともと、総務会長だった二階俊博氏が「安倍総裁の党内外での活躍に異論を差し挟む人はいない」などとして延長論を唱えてきた経緯がある。

 見え見えにもかかわらず、議論の進め方に異を唱える声が聞かれず、任期延長の流れがあっさり決まった。党内の活力の低下をいよいよ感じさせる。高支持率を保つ首相に寄り掛かるようでは、党の存在感は薄れ、官邸主導の政治が強まる一方ではないか。

 安倍首相の総裁任期は2018年9月に満了となる。さらに3年の延長で見据えるのは、20年の東京五輪・パラリンピックばかりではないだろう。在任中に成し遂げたいと意欲を示す改憲が念頭にあるのは間違いない。

 なぜ今、総裁任期を延長するのか。自民党には、広く国民を納得させる説明が求められる。「延長ありき」の形ばかりの議論では理解を得られない。

(9月23日)

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