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満蒙開拓記念館10万人 阿智 予想上回る来館者

10万人目の来館者の平江さん(左から2人目)に記念品を手渡した河原館長(右)=7日、阿智村10万人目の来館者の平江さん(左から2人目)に記念品を手渡した河原館長(右)=7日、阿智村
 下伊那郡阿智村の満蒙(まんもう)開拓平和記念館の来館者数が7日、10万人に達した。満蒙開拓の歴史に特化した全国唯一の資料館として2013年4月に開館。4年目を迎え、当初予測の年間5千人を大きく上回り続けている。開拓体験者たちが長く内に閉じ込めてきた思いを受け止め、歴史を若い世代が多角的に検証する場として定着している。17日には天皇、皇后両陛下も訪問される予定だ。

 10万人目となったのは、愛知県清須市の平江菊枝さん(82)。元同僚の女性8人と旅行で訪れた。両陛下が来ると聞いて立ち寄ったといい、河原進館長(70)から記念品を受け取った。平江さんは「こんなことは一生に一度きり」と喜んだという。

 記念館によると、開館1年目と2年目は約2万9千人、3年目は約2万7千人が来館した。河原館長は「思ったよりかなり速く10万人を迎えることができた。初心を忘れず、20年目に50万人を達成したい」。両陛下の訪問が公表された10月20日以降、来館者が増えており、1日に200人を超える日もある。

 記念館では開拓体験者10人前後が「語り部」を務めているほか、毎年8月には旧満州(中国東北部)での犠牲者を悼む慰霊祭を開催。ボランティア養成講座も実施し、運営を支える住民を毎年募っており、歴史継承の輪が広がっている。

 開館3年半余を振り返り、三沢亜紀事務局長(49)は「地域への遠慮などから、体験者が口にしづらかった旧満州での記憶や苦しさ、悲しみを吐露する場所になっている。個人の記憶を、戦後70年がたってようやく社会全体の歴史として受け止め、伝えられるようになった」と話す。

 記念館建設に尽力した同村の前村長、岡庭一雄さん(74)は「忘れられてきた庶民の歴史に光を当てた」と評価。両陛下訪問については、「フィリピンやパラオで慰霊を続けてこられた両陛下が、生前退位への思いを表明された中での訪問は非常に大きな意味を持つ」と話している。

 県によると、訪問発表後に三笠宮さまが亡くなられたが、宮内庁から両陛下の日程変更の連絡はなく、予定通り準備を進めているという。

(11月8日)

長野県のニュース(11月8日)