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県内に広がる警戒感 米大統領にトランプ氏

 米大統領選でのトランプ氏勝利は、県内の経済関係者にも衝撃を与えた。EU(欧州連合)離脱を選択した6月の英国民投票に続いて示された保護主義の強まりに警戒感が広がった。急速なグローバル化に対する米国民の不安感を反映したとして、選択に理解を示す声もあった。

 県中小企業団体中央会の春日英広会長(ニッキフロン会長)は、自宅のテレビで開票結果を見て「えらいことになった」と驚いた。英国民投票に続く「米国第一主義」のトランプ氏の勝利に、「(世界が)保護主義に傾倒していくことが最も懸念される」と不安感を強めた。

 長野計器(上田市)の角龍徳夫執行役員は「トランプ氏は産業や雇用などで対外的に過激な発言が目立つ。自国製品最優先の政策に傾くのが心配だ」。シューマート(長野市)の霜田清社長も「日本の輸出産業が不振になり国内経済が落ち込めば、消費も低迷する。消費者の低価格志向もより強まる可能性がある」と身構えた。

 株式市場への影響にも不安が広がる。松本信用金庫(松本市)の横沢達郎常務理事は「しばらくは為替が円高に振れ、株式市場も乱高下するだろう」と予測。長野経済研究所(長野市)の小沢吉則調査部長は「設備投資やインバウンド(外国人誘客)需要の減退など先行き不透明な状況がしばらく続く」と見通した。

 市場の動向について、長野証券(長野市)の山田一隆社長は「円高株安基調は続くかもしれないが、堅調な業績を続け、伸びてくる銘柄はある。個人的には今が買い」と指摘。「日本の市場は米国の影響をもろに受けすぎる。政府は日本の先進性をきちんと発信してほしい」と注文した。

 一方、サンリン(東筑摩郡山形村)の柳沢勝久社長は、トランプ氏の勝利に戸惑いつつも「(米国内で)格差が広がり、たまっていたマグマが噴き出したのなら民主主義が機能したともいえる」。多摩川精機(飯田市)の関重夫社長は「世界経済の閉塞(へいそく)感が引き金となってグローバル化への疑念が膨らんだ。素直な選択」と受け止め、「先端技術のトレンドは揺るぎなく進化していく。企業としてはきちっとした対応を取っていくだけ」と強調した。

 交渉参加国が大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)の発効は、脱退を宣言するトランプ氏の勝利で不透明になった。ライト光機製作所(諏訪市)の岩波雅富社長は、主力のライフルスコープを米国に輸出する際の関税が14・9%とし、「TPPには期待していたが、(発効が)なくなることを前提に動いていかなければならない」と話した。

 大規模コメ農家で県農業経営者協会の荻原慎一郎会長(東御市)は、TPP発効の見通しが不透明になったのを機に、承認案などの今国会成立を目指す政府に慎重な対応を要望。「世界中が米国の出方を探っている。事を急いてはいけない」と述べた。

(11月10日)

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