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関心高まりに期待 「世界かんがい遺産」選定で地元

今年で開削から200年の節目を迎えた拾ケ堰=9日、安曇野市今年で開削から200年の節目を迎えた拾ケ堰=9日、安曇野市
 歴史的価値がある農業用水利施設を登録する「世界かんがい施設遺産」に県内で初めて選ばれた拾ケ堰(じっかせぎ)(安曇野市、松本市)、滝之湯堰・大河原堰(茅野市)。長年、管理保全に取り組んできた人たちは9日、登録を喜ぶとともに、これを機に関心が高まり、地域の活性化につながることを期待した。

 農林水産省によると、遺産登録は国際かんがい排水委員会(ICID)が2014年に始めた。今回、日本からは拾ケ堰など14施設が選ばれ、これで日本の登録施設は計27となった。

 拾ケ堰は1816年開削。松本市の奈良井川で取水し、安曇野市の烏川に至る全長約15キロで、水不足に困った農民らが協力し、着工からわずか3カ月で完成させた。緻密な測量と計画で標高570メートルの等高線にほぼ沿った形で緩やかに流れるなど、高度な技術の集大成だったという。

 県拾ケ堰土地改良区(安曇野市)理事長の中島義朋さん(72)は9日、市役所に宮沢宗弘市長らを訪ね、「行政や住民が関わって守ってきた点が評価された」と登録を報告。市長は「観光誘客にも生かせるよう市としてできることを考えたい」と述べた。

 滝之湯堰(開削1785年、総延長13・5キロ)と大河原堰(1792年、14・4キロ)は、ともに茅野市と北佐久郡立科町境の蓼科山を源流とする滝之湯川から取水。旧田沢村(茅野市宮川)の名主坂本養川(ようせん)が高島藩に願い出て藩の事業として開削された。

 大河原堰土地改良区理事長の原田薫さん(77)は9日、「祖先が命懸けで造った堰が評価された」と喜んだ。同改良区は堰の役割を知ってもらおうと地元小学校の児童を毎年現地に案内しており、「遺産登録で子どもらの関心が高まる」と期待した。同日、滝之湯堰土地改良区理事長の牛山啓悟さん(65)は「今後も大切に手入れをしたい」と気持ちを新たにしていた。

 一方、佐久市では、県内有数のブランド米「五郎兵衛米」の産地、同市甲などを潤す五郎兵衛用水の遺産登録を目指し、申請準備が進む。同用水土地改良区理事長の中沢政幸さん(78)は9日、「今回、県内からも登録されたことで自分たちも挑戦したいという気持ちがより強くなった」と意気込みを見せた。

(11月10日)

長野県のニュース(11月10日)