長野県のニュース

首相訪米へ 発言の真意見極めねば

 安倍晋三首相が、米大統領選に勝利した共和党のトランプ氏と来週、米国で会談する方向になった。

 日米安全保障条約などを巡り、極端な発言を重ねてきた。トランプ氏に対し主張すべきは主張しつつ、関係を築かなくてはならない。

 きのう電話会談で「できるだけ早くお会いしたい」と呼び掛けた首相に対し、トランプ氏は「ぜひお会いし、両国にとって前向きな議論をしたい」と応じた。ペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席に先立ち、首相が訪米する。

 電話会談では、アジア太平洋地域の平和と繁栄の確保に向けて緊密な連携を確認している。とはいえ、楽観はできない。トランプ氏が負担増を求めている在日米軍駐留経費(思いやり予算)については話が出なかったという。

 安保条約について、トランプ氏は「不公平」と主張する。大統領に就任した場合、思いやり予算の増額を要求するとし、応じなければ在日米軍の撤収もあり得るとしてきた。韓国やドイツについても同様の発言をしている。

 日韓の核保有容認もちらつかせ波紋を広げた。「米国が国力衰退の道を進めば、私が言い出さなくても日本と韓国は核を持ちたがるだろう」などと述べている。

 どこまで本気なのか、真意を見極める必要がある。トランプ氏勝利を受け、首相は河井克行首相補佐官を14〜18日の日程でワシントンに派遣し、次期米政権の関係者らと接触させる。事務レベルの政府高官も急派する方針だ。

 安保条約は日本に基地提供の義務、米国に日本防衛の義務を課している。条約や米軍基地の管理運用について定めた日米地位協定では、日本が思いやり予算を支払う義務はない。こうした点を十分に理解した上での発言なのか、確かめなければならない。

 米軍基地が集中する沖縄の負担軽減も会談で取り上げるべき課題だ。普天間飛行場の返還は、辺野古への移設に反対する地元の民意に沿った打開策を日米で改めて探るよう求めたい。

 トランプ氏は「米国第一」を訴え、「米国には世界の軍隊、警察でいられる余裕はない」とも発言していた。アジア太平洋地域への関わり方がオバマ政権とは変わるのではないか。

 中国が南シナ海で進める軍事拠点化、北朝鮮の核・ミサイル開発など協調して取り組むべき問題は山積している。トランプ氏との率直な話し合いが欠かせない。

(11月11日)

最近の社説