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期待と不安「先が読めぬ」 TPP衆院通過

 環太平洋連携協定(TPP)からの脱退を唱えるトランプ氏の米大統領選勝利から一夜明けた10日、衆院ではTPP承認案と関連法案が通過した。「これからどうなるのか」「先行きが読めない」―。TPP発効は困難との見方も出る中、県内の農家や製造業関係者の間で期待と不安が交錯した。

 「混沌としてきた」。TPPに反対してきた塩尻市のリンゴ農家永原志朗さん(75)は大統領選の結果に驚きつつ、トランプ氏の勝利で情勢の変化を期待する。その中での承認案の衆院通過に、「アメリカ大統領選があの状況になったのだから、日本も急ぐことはないのに」と話した。繁殖用の黒毛和牛などを育てる窪田俊男さん(67)=上伊那郡箕輪町=もトランプ氏当選で「これから先、どうなるかは誰も分からない」とし、日本がTPP承認案可決を急ぐ動きに疑問を投げ掛けた。

 一方、ワイン用ブドウを栽培する佐藤明夫さん(43)=上高井郡高山村=は、TPP承認案の衆院通過を、「農業も次の一手を考えないといけない」と受け止めた。海外から安いワインが入ってくる可能性があり農家には厳しい環境になる。それでも日本食への人気が海外で高まっているとし、「TPPをチャンスと捉えて輸出を考えていくべきだ」とした。

 自動車部品製造の小松精機工作所(諏訪市)は、自動車の燃料噴射装置に取り付けるステンレス製プレートで世界シェア約3割を占め、TPPによる工業製品の関税撤廃を歓迎。小松誠社長(72)は、トランプ氏の当選で「先行きが全然読めない」と不安がる。自動車産業は自動運転普及など劇的な変化を迎えつつあるとし、「関税などのビジネスの阻害要因は少しでも無くしてほしい。政府には米国としっかり交渉してもらいたい」と求めた。

 光学電子関連機器販売のマブチ・エスアンドティー(上伊那郡辰野町)の馬渕務社長はTPPに賛成の立場。「これまでも当社は世界各地と貿易をしてきた。自由貿易にならなければグローバル化から後れを取り、国が疲弊してしまう」。日本政府が、オバマ政権の間に承認手続きを進めていることに理解を示した。

(11月11日)

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