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博多陥没事故 都市に潜む危険あらわに

 地下を活用した都市基盤の損壊がもたらす危険性をまざまざと見せつけられた思いがする。JR博多駅にほど近い福岡市の目抜き通りが大規模に陥没した事故である。

 異変が起きたのは8日午前5時ころ。通りの両端に開いた穴に信号機が引きずり込まれ、道路中央部も見る間に崩れ落ちた。陥没は道幅いっぱいにおよそ30メートルに及んでいる。目を疑う光景だった。

 地下鉄の延伸工事中のトンネルに地下水が流れ込み、崩落につながったとみられる。異常を察知した作業員は直前に退避し、周辺の道路を封鎖したため、けが人はなかった。一つ間違えば大惨事になっていただろう。

 道路の下には電線やガス管、通信ケーブルが埋設されていた。損傷による停電やガスの供給停止、通信障害など、市民の生活と都市機能に大きな影響が及んだ。

 同じ地下鉄路線の工事で過去にも2度、陥没が起きている。それなのに、さらに大きな事故を防げなかった。

 地盤の調査や地下水の対策は十分だったのか。トンネル掘削の工法は適切だったか。詳しく検証し、原因の究明と再発防止につなげなくてはならない。

 地下の掘削工事に伴う陥没事故は各地で相次いでいる。東京では1990年、東北新幹線のトンネル工事現場で陥没が起き、通行人ら10人以上がけがをした。名古屋でも2005年、地下鉄の工事現場付近で道路が陥没した。

 大都市圏を中心に、地下を利用した交通基盤整備や商業開発が進む地域が共通して直面する課題である。各都市は情報を共有し、既存施設の維持管理を含めた対策の徹底を図る必要がある。

 陥没の原因となるのは掘削工事だけではない。規模は比較的小さいものの、頻発しているのが下水道管の老朽化に伴うものだ。全国で毎年3千件を超す。

 東京では13年、住宅地の道路にできた直径1メートルほどのくぼみに男性が足を取られ、頭を打って一時意識不明になった。破損した下水管に土砂が入り、地中に空洞ができて陥没につながったという。

 下水道管の耐用年数は一般的に50年とされる。高度成長期以降に敷設された管が、これから各地で次々と耐用年数を迎える。劣化や腐食による被害を防ぐには、点検と補修が欠かせない。

 住民の生活を支える社会基盤の安全対策に見落としはないか。大都市に限らず、それぞれの自治体が再確認する機会にしたい。

(11月12日)

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