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県観光機構 「大北」と二重写しの不正

 架空の請求、「後で納入されれば問題はない」との言い訳、予算消化が目的の可能性…。いずれもどこかで聞いた話だ。

 長野県観光機構で発覚した物品納入を巡る不正は、14億円余の補助金が架空申請などで県から大北森林組合に支出された事件と構造がよく似る。一部の組織にとどまらない問題なのか。

 観光機構は観光振興事業を担う県の外郭団体だ。事務所を県庁に置き、顧問に阿部守一知事、理事に県観光部長が就いている。

 不正は2013年度、機構の前身の信州・県観光協会時代に行われた。協会は、県から請け負った観光誘客事業で使うのぼり旗(1500本)など6品目を松本市の業者に発注した。これらが納品されていないのに、納品を装う架空の納品書や請求書が作成され、代金251万円余が業者に支払われていた。

 会計検査院が先日公表した決算検査報告で「不当」と指摘したのは当然だ。

 県派遣の担当職員は機構の調査に「(5月の)出納閉鎖までに納入されれば問題ないと考えた」と話した。しかし、現在も品物の多くが納入されていない。

 両者とも「失念していた」という。物品の代金は国の交付金を原資にした県の基金から出ている。税金を使う事業として耳を疑う説明だ。

 本当に忘れたとすれば、不要な物だったことにもなる。

 実際、6品目のうち3品目は在庫が十分にあった。年度内に予算を消化するため、必要のない発注が行われた可能性が出ている。

 業者は「協会からの指示で架空の納品書と請求書を提出し、代金を受け取った」と証言。機構は「職員が指示したかは聞き取り調査で分からなかった」とする。

 発注と納品のチェック態勢はいったいどうなっていたのか。無責任な体質が浮かび上がる。

 大北森林組合を巡る補助金不正では、県の現地機関である北安曇地方事務所の林務課が年度内の予算消化のプレッシャーから、組合の補助金架空申請を通していた。県側は全くの架空との認識はなく、その後、事業をすると考えていたと釈明している。

 この事件を受けて県は昨年、地方事務所単位で補助金の執行状況を調べた。すると、佐久、松本の各地事所管内の森林組合でも不正受給が見つかった。

 不正の根はどこまで広がっているのか。県は全ての部局、外郭団体を調べ、明らかにすべきだ。

(11月12日)

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