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郷土の関取はと問われても天下無双で名高い江戸時代の雷電と、ずっと時代を下った佐久市出身の大鷲を挙げるのが精いっぱい。それも大鷲は郷里で営む人気のちゃんこ料理店からの記憶である。今度の御嶽海の小結昇進は過去の郷土力士への興味も呼び起こしてくれる

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三役の力士をたどると昭和初期の関脇高登にさかのぼる。東京下町の生まれ。幼くして父を亡くし、両親の古里、喬木村の伯父に引き取られて成長した。1933年1月場所で関脇。長身で筋肉質、「信州雷電」と期待されながら病気とけがに阻まれた

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引退後は大山部屋をおこすが、空襲で妻子を失ってしまう。戦後再起し部屋を盛り上げ、独特な放送解説も人気を集めた。喬木村歴史民俗資料館が特別展を開いている。“御嶽海効果”で期間を延長し、普段の倍以上の入場者数という

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地元の相撲大会を盛り上げるため積極的に参加したり、優勝杯を贈ったり。53歳で急逝するまで古里への思いは強かった。「父の足跡に再び光が当たることはうれしいこと」。展示を機に久方ぶりで村を訪れた子息が語っている

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新小結の御嶽海があすから臨む九州場所。20代前半は地力をつける勝負どころという。横綱・大関戦に早く慣れて三役定着を目指してほしい。県外の知人には「大騒ぎしすぎ」と揶揄(やゆ)されるが、信州では貴重な関取である。ここは温かく見てもらおう。

(11月12日)

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