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劣化ウラン弾で白血病増加か 信大、遺伝子解析で究明へ

遺伝子異常の解析に使う名古屋大病院の「次世代シーケンサー」遺伝子異常の解析に使う名古屋大病院の「次世代シーケンサー」
 信州大医学部(松本市)と認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF、同)、名古屋大病院(名古屋市)が、中東・イラクで増えている白血病と、1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争で米軍が使った「劣化ウラン弾」との因果関係の究明を本格的に始めた。放射線を出す劣化ウラン弾によりイラクでは白血病が増えたとみられているが、科学的な証明には限界があったといい、最新の解析機器を利用。遺伝子レベルの精密な研究で、放射線の影響解明や治療薬の開発につなげたいとしている。

 名大病院先端医療・臨床研究支援センター特任講師で医師の奥野友介さん(35)によると、白血病を含むがんは細胞が増殖する際の遺伝子変異によって発生する。信大医学部小児医学教室研究員でJCFスタッフのイラク人女性医師リカー・アルカザイルさん(47)は、イラクで白血病が増えている原因として劣化ウラン弾を疑ってきたが、解析機器の性能の限界から科学的根拠はつかめないでいた。

 そこで信大医学部は、大量の遺伝情報を高速で読み取れる「次世代シーケンサー」を持つ名大病院と連携。まずはアルカザイルさんが10月にイラクで採取した急性白血病患者の骨髄液から抽出した5人分のDNAで、遺伝子異常を調べるという。

 奥野さんは、劣化ウラン弾由来とみられる白血病は、紫外線が引き起こす皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」と変異のパターンが似ていると推定。04年からイラクで医療支援を続けているJCFの協力を得て、今後少なくとも20人分のDNAサンプルを集めて解析を重ね、特有の変異パターンを探すことにしている。

 「変異のパターンが分かれば、新たな治療法の確立につながる」と奥野さん。アルカザイルさんは「研究が進めば、劣化ウラン弾の使用を世界に考え直させる理由にもなる」と話す。JCFの神谷さだ子事務局長(63)も「核兵器や原発を見直す流れになるといい」と期待している。

(11月12日)

長野県のニュース(11月12日)