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強制わいせつ、逆転無罪 安曇野の事件、東京高裁判決

 安曇野市内の別荘で女性の体を触ったなどとして強制わいせつの罪に問われた市内の男性について、東京高裁(藤井敏明裁判長)は11日までに、「女性の証言の信用性に疑いがある」として一審地裁松本支部の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。東京高検は上告せず、判決は確定。密室での「強制わいせつ」行為の有無を巡り、当事者の証言に頼りがちな捜査、立件にあらためて警鐘を鳴らす判断となった。

 男性は同市穂高有明の建設業太田正人さん(67)。昨年4月、市内の居酒屋で知り合った中信地方の20代女性と自らの別荘に行き、体に触ったなどとして強制わいせつ致傷の疑いで安曇野署が逮捕。地検松本支部は強制わいせつの罪で地裁松本支部に起訴した。太田さんは逮捕時から「酒を飲んでいたので覚えていない」と否認していた。

 地裁松本支部(本間敏広裁判官)の公判では、女性が無理やり着衣を脱がされ、ソファで体を触られたとする検察側と、家具の配置などから物理的に行為に及ぶのは無理とする弁護側の主張が対立。同支部は今年3月、弁護側の主張は「被害者の供述の信用性を左右するものではない」として検察側の主張を全面的に認め、太田さんに懲役2年執行猶予5年の判決を出した。

 ところが10月12日、控訴審の東京高裁判決は、女性の証言通りの体勢で犯行に及ぶには物理的に疑いがあり「(一審の)判断は不合理」として無罪に。東京高検は上告せず同27日に無罪が確定した。

 太田さんの逆転無罪判決について、県警捜査1課は「コメントする立場にない」。長野地検は取材に対しコメントしていない。一方、太田さんは取材に「相手の供述だけをうのみにされ、社会的な信用を失った。警察、検察、裁判所はもっと慎重に調べてほしかった」と話した。

(11月12日)

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