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来日3年目のドイツ人男性に母国でよく知られている日本語を聞いた。即座に返ってきた答えは「カロウシ」(過労死)だった。調べると、ドイツの辞書にも「Karoshi」が載っていた。日本特有の現象だとして

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先進国の中でも日本の労働時間は長い。労働政策研究・研修機構の国際比較では一昨年の平均年間労働時間はドイツを358時間も上回る。ドイツではまずないサービス残業や家への持ち帰り仕事は統計に含まれないので、実際の労働時間差はもっと大きい

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ドイツでは労働時間法などで働き過ぎを厳格に制限、行政の監視も厳しい。違反は最高約200万円の罰金だ。雇用側も神経をとがらす。社員のパソコン画面に「間もなくあなたの労働時間が違法になる。直ちに帰宅を」との警告が出る企業もあるという

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日本にも1日8時間労働を定めた労働基準法がある。労使協定で延長でき、特別条項を付ければ事実上の青天井と批判されている。過労死ラインとされる月80時間の残業を超える協定を結んでいる企業もある。行政の監視は行き届かず、罰金も桁違いに低い

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〈取り組んだら放すな、殺されても放すな〉。若い社員2人が過労自殺した電通が社員手帳に載せている「鬼十則」だ。働く人の命はあまりに軽い。労災認定分だけでもほぼ2日に1人が過労で命を落とす社会。世界で際だつ異常さを放置できない。

(11月13日)

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