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手作りの正月飾り 今年も気持ち込め 82歳の田中さん

正月飾りの「満帆宝船」を作る田中さん正月飾りの「満帆宝船」を作る田中さん
 長野県伊那市東春近の田中豊文さん(82)が、正月飾りの「満帆(まんぽ)宝船」としめ飾りの制作に今年も励んでいる。田中さんは、上伊那農業委員会協議会から「稲ワラ工芸品づくり名人」の認定を受け、同市が四季折々の魅力をまとめたPR映像「イーナ・ムービーズ」でも紹介されており、「できる限り制作を続けていきたい」と決意を新たにしている。

 田中さんは「荒れた世の中でも帆を張って進んでいこう」との気持ちを込めて宝船を作っている。近隣の農家から譲り受けたわらを使って米俵を乗せた船を作り、節のないわらを選んで編み上げた帆をかけて、幅、高さとも約50センチの宝船が完成。1日平均2、3個作り、年末にかけて宝船としめ飾りを50個ずつ仕上げる。

 長野県上伊那郡辰野町にあるオリンパスグループの工場に勤務し、顕微鏡の組み立てなどを担当したが、自分にしかできないことをやってみよう―と55歳で退社。その後30年近く試行錯誤や改良を重ねながら宝船を作り続けている。

 15年前にがんを患い、5年前からは人工透析を受けている田中さんは、「自分の城」という自宅脇の工房(約6畳)に入ると「病気に負けず、制作しようとぴしっとなる」。病気を経験し、宝船に勇気をもらおうと工房を訪れる人もいるという。今年の制作分は全て販売先が決まっており、来年も作る予定だ。

(11月15日)

長野県のニュース(11月15日)