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高齢ドライバーが若い人の前途を断ってしまう―。切ない事故が続いている。東京・立川の病院構内で、また80代による暴走事故が起きた。30代の男女2人が亡くなった。加害者の女性は83歳。夫の病状が悪化して病院に泊まり、看病に疲れていたという

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精いっぱい生きている者同士の非運に、やり切れなさが募る。その2日前、84歳の車が暴走し3人死傷した栃木県の事故も、病院駐車場で料金を投入するときに起きている。今回も手を伸ばそうと踏ん張り、アクセルに足がいったのか

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加齢につれて身体能力や判断力が鈍るのは自然の理だ。それでも交通手段がない地域では運転をやめられない。むしろ足腰が弱ると、依存が増すのが実情だ。運転免許の返納を勧めても、「どうやって病院へ通うのか」と問われると返答に窮してしまう

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来年3月から75歳以上の認知機能検査が厳格化される。免許更新時に「認知症の恐れがある」と判定された人は医師の診断書が必要になる。「機能低下の恐れなし」とされた人でも交通違反をすると、臨時検査を受けなければならない

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高齢ドライバーのチェックを臨機応変にするのだという。これで事故が減るといい。けれど認知症と診断された高齢者の免許を取り消しても、代わる足がなければ不自由を強いるだけだ。医師の態勢は整うのか。不便な地域の支援をおろそかにしてはなるまい。

(11月15日)

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