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保育園提出書類 一部市町村の保護者欄、父親名だけ

保護者欄に母親名を記したところ、父親名に訂正するよう求めた山形村の文書(画像は加工しています)保護者欄に母親名を記したところ、父親名に訂正するよう求めた山形村の文書(画像は加工しています)
 公立保育園に子どもの保育の必要性を確認するために保護者が提出する書類で、東筑摩郡山形村や駒ケ根市など一部市町村が「保護者」の記名欄に父親の名前を書くよう求めている。理由は「慣例だから」「父親が世帯主になっていることが大半」などだ。自分の名前を記した山形村の母親は「書類の不備」として訂正を求められ、自身を否定された思いがした。男女が仕事と子育てを共同して担う意識が高まる中、自治体の対応を疑問視する専門家もいる。

 山形村の母親(33)は10月下旬、村が親の就労状況を確認するための「現況届」を、長男(3)が通園する保育園に出した。11月上旬に園から返された書類には、保護者氏名に書いた自分の名前に付箋が貼られ、同封の手紙には「保護者氏名は原則、児童の父の名前をご記入下さい(ひとり親世帯は除く)」と書かれ、訂正を促された。

 母親は「自分も保護者なのに…」と違和感を覚え、園側に理由を尋ねたが「これまでも父親名を書いてもらっている」と説明された。単身赴任中の夫に相談し、週末に帰宅した際に記入してもらった。

 村子育て支援課によると、保護者名の記載を統一して業務を円滑に行うため、入園説明会で父親の記名を勧めた。なぜ父親名を勧めたかについて百瀬尚代課長は「深く考えなかった」とし、訂正を求めた対応について「母親名でも受理できるのに、担当者が父親でなければ受け付けられないと誤解した」とし、見直すとしている。

 上高井郡高山村も保育園入園前の説明会で提出書類は父親名で申請するよう口頭で呼び掛けてきた。駒ケ根市も、保育園の入園説明会で書類の保護者欄に「ご主人の名前を」と口頭で案内している。

 自治体側は、父親が納税義務者や世帯主になっていることが多いなどを理由とするものの、書類は納税義務者や世帯主を明示することを求めていない。「理由は特に考えたことがなかった」「母親名だと、母子家庭と思い込まれる可能性がある」と話す担当者もいた。

 一方、安曇野市は「家計の主宰者」を記すよう呼び掛けており、「保育料を責任を持って払う保護者という意味で、父でも母でも問題ない」。長野市は、市が世帯の税情報を閲覧することに同意を求める署名欄に父母両方の欄を設ける。「保育料支払いは原則両親に同じ責任があり、両者の同意が必要」との認識だ。

 男女共同参画政策に詳しい中央大法学部の広岡守穂教授(65)は「保護者に父親の名前のみを求めるのは、女性の意識をくじきかねない。両親は子どもに対し平等に責任と権利がある。行政側も意識を変え、きちんとした対応を取る必要がある」と話している。

(11月16日)

長野県のニュース(11月16日)