長野県のニュース

安保をただす 駆け付け警護 疑問置き去りにするな

 政府が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に対して「駆け付け警護」の新任務付与を閣議決定した。

 現地の治安情勢は不透明だ。戦闘に巻き込まれる恐れがある。決定は容認できない。

 駆け付け警護は、離れた場所で武装集団などに襲われた国連職員らを助けに行く任務である。安全保障関連法で武器使用基準が緩和され、可能になった。

 安保法がいよいよ本格的に動きだす。海外での武器使用を伴う任務によって自衛隊の在り方が変質していく可能性がある。

 PKOの実施計画を変更し、駆け付け警護を業務に加えた。実施地域は首都ジュバと周辺に限定する。20日以降に順次、南スーダンへ向かう部隊が担う。来月中旬から任務遂行を可能にする。

 政府はジュバの治安情勢について「比較的落ち着いている」との判断を示す。本当に活動できる状況なのか。先月の稲田朋美防衛相による現地の視察は、わずか7時間ほどの滞在だった。新任務を付与するためのアリバイ作りの印象が拭えない。

 南スーダンでは政府軍と反政府勢力が内戦状態にある。国連の事務総長特別顧問は、民族間の憎悪が広がっているとし、ジェノサイド(民族大虐殺)への強い懸念を示している。7月にはジュバでも大規模な戦闘があった。

 仮に巻き込まれる事態になれば隊員が危険にさらされる。憲法上許されない海外での武力行使にもつながりかねない。

 政府は「対応できる範囲内で行う」などと抑制的な運用を強調している。救助要請を拒否できるのか、対応可能かどうかを適切に見極められるのか、疑問が残る。

 新任務の訓練については習熟度が十分なレベルに達したとしている。訓練の様子は1度公開されただけだ。仕事を求める群衆が道をふさいだとの想定で、盾を持った隊員が近づくとあっさり退散する緊迫度の低い内容だった。これで納得できるはずがない。

 安倍晋三首相は参院の特別委員会で「意義のある活動が困難と判断する場合、撤収をちゅうちょすることはない」とした。どんな場合に困難とするのか、具体的な基準を示してもらいたい。

 疑問や不安を置き去りにしたまま推し進めてはならない。派遣の是非、新任務の妥当性について改めて国会での説明を求める。

(11月16日)

最近の社説