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措置入院 退院後支援の充実急げ

 精神疾患のため自分や他人を傷つける恐れがある人を行政が強制的に行う措置入院について、退院後の支援を充実させる方向が固まった。

 相模原市の障害者施設での殺傷事件に関する有識者検討チームがおととい確認した。措置入院の決定権を持つ都道府県知事や政令市長が、患者全員に入院中から退院後までの支援計画をつくる。月内にもまとめる最終報告を受け、厚生労働省は精神保健福祉法の改正を検討する。

 相模原事件で逮捕された容疑者の事件前の措置入院には反省すべき点が多い。特に退院後の生活の支援や情報共有のあり方だ。

 容疑者は措置入院中、担当看護師に「退院後は相模原市で単身生活する」と話していたのに院内会議で共有されなかった。病院が市に提出した入院解除のための届けには東京都八王子市の両親の住所が退院後の住まいになっていた。

 また病院は他害行為や大麻再使用の防止に必要な退院後の医療支援を検討せず、届けにも訪問指導や障害福祉サービス活用についての意見を書かなかった。

 この結果、相模原市は市外の親元に帰るとの認識を含め「支援の対象外」と判断し、必要な情報を八王子市に提供していなかった。

 措置入院は移動の自由など人権を制限する。このため精神保健福祉法は入院させる厳格な要件を定め、自傷他害の恐れがないと判断されれば「直ちに退院させなければならない」としている。ただ、その後の支援については明確に求めていない。

 今回の事件を教訓に、退院後の支援を法律に明記し、患者が地域で暮らしながら回復を図れるようにすることが大切だ。

 退院した患者がどこに転居しても支援が継続されるよう、自治体間で情報を提供する仕組みも求められる。児童虐待の場合、支援対象家庭が転出したときには、転入自治体に情報提供するよう法律で定めている。

 気をつけなければならないのは、過剰な介入や監視につながり、患者が地域で暮らしにくくなることだ。懸念する障害者団体を交えて着地点を探りたい。

 退院後の支援には、態勢の充実も欠かせない。

 措置入院になる人は全国で年間1500人ほどいる。退院後、本人や家族の相談に応じ、指導する役割を担う精神保健福祉士などは不足している。人材の育成や都道府県などへの予算措置も併せて考えなければならない。

(11月16日)

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