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原発運転延長 廃炉の原則、揺るがすな

 40年で廃炉という原則は、あってないかのようである。「極めて例外的」だったはずの老朽原発の運転延長が常態化し、原発回帰の動きがさらに強まっていかないか。

 今月末で運転開始から40年の関西電力美浜原発3号機について、原子力規制委員会が延長を認可した。これで、関電高浜1、2号機を含め、申請があった2原発3基が最長20年の延長を認められた。

 規制委の審査は、廃炉になる期限に間に合わせたとしか思えない進め方だった。原子炉内の重要な設備の耐震性を確認する試験は、審査段階では行わず、再稼働前の検査に先送りしている。

 原発の延命が安全対策より重視されていないか、根本的な疑問がある。古い原発の電源ケーブルは、新規制基準で、燃えにくいものにする必要があるが、交換が難しい部分には防火シートを巻く対策を容認した。

 民主党政権下の2012年に改正された原子炉等規制法は、原発の安全を確保するため、運転期間を原則40年に制限した。東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえたものだ。規制委の田中俊一委員長も当時、「延長は相当困難」との見解を示していた。

 ところがその後、自民党の安倍晋三政権の下で状況は一転する。政府は原発を、安定的に発電できる「重要なベースロード電源」と位置づけ、30年の電源構成比率で20〜22%と定めた。老朽原発の運転延長をしなければ実現できない比率である。

 規制委も、期限が迫った老朽原発の運転延長の審査を優先して進めてきた。政府の方針に追従するかの姿勢は、規制委の独立性の面からも問題が大きい。

 田中委員長は、基準を満たしても「100%の安全が確保されるわけではない」と繰り返している。政府は、規制委の審査を通った原発は稼働させる方針だ。

 原発の安全について、責任を負うのは誰なのか。肝心な点が明確にならないまま、運転延長や再稼働が進められている。

 福島の原発事故はいまだ原因が解明されず、廃炉のめども立たない。汚染水対策をはじめ、課題は山積している。原発の再稼働がなし崩しに進むことに多くの国民が反対するのは当然だ。

 安倍首相は「原発依存度を可能な限り低減する」と述べてきた。廃炉の原則はゆるがせにすべきではない。社会的な合意を得ようともせず、原発回帰を既成事実化していくことは認められない。

(11月17日)

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