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青少年の条例 法制化の要望は疑問だ

 18歳未満との性行為などを処罰する規定がある県条例が今月、全面施行されたのを受け、阿部守一知事が全国一律の法規制を国に要望した。

 これまで住民運動などで青少年の健全育成を進めてきた長野県が条例を制定したことで、全都道府県に条例がそろった。

 だが、処罰対象や罰則の重さには違いがある。だから国が統一して法制化してほしい―。

 知事が内閣府を訪れて提出した要望書は、そんな趣旨だ。

 県条例の罰則規定は、恋愛の自由を制限し、冤罪(えんざい)を生む恐れがあるとの反対意見があった。これに対し知事は他県の規制に比べ「相当程度、対象行為が限定化、明確化されている」と、県条例の独自性を強調して理解を求めてきた。

 全国一律の法規制を求めることは、その主張と矛盾するのではないか。法制化は広範な規制につながりかねない。

 条例で処罰対象になる行為について40都道県が「淫行」または「淫(みだ)らな性行為」と表現している。長野県は、この表現は不明確だとして採用しなかった。代わりに「威迫、欺き、困惑」による性行為などとした。

 それでも県弁護士会などは「真摯(しんし)な恋愛でも見方によってはこれらの行為が伴いうる」と、処罰規定の削除を求めていた。

 この規定の罰則は「2年以下の懲役または100万円の罰金」だ。地方自治法が条例に許す罰則の上限を採用した。全国では9県がこれより軽い罰則にしている。

 条例制定過程で知事がほかに強調したのは、「有害図書」規制などを含めた「包括的、網羅的な規制条例ではない」という点だ。条例には深夜外出の制限が含まれるものの、「有害図書」の販売制限、罰則がある46都道府県の条例と一線を画している。

 国への要望書も「子どもに不当な手段を用いて行う性行為等を法制化して規制」することを求めてはいる。だが、仮に全国の条例を基に法制化するとなったら、そうは行かないのではないか。「淫行」や「包括的」が圧倒的な多数派の現状で、「限定的」な法ができるとは考えにくい。

 2000年以降、自民党などは包括的な「青少年有害社会環境対策基本法案」や「青少年健全育成基本法案」を作ったが、いずれも成立しなかった。「表現の自由を侵す」との強い反対があったからだ。多くの問題をはらむ法制化の動きに再び火を付けるようなことは控えるべきだ。

(11月18日)

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