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普天間判決 民意踏まえ政治解決を

 日本の司法の限界を痛感させられる判断がまた、示された。沖縄県の米軍普天間飛行場を巡る第2次爆音訴訟である。

 那覇地裁は判決で国に損害賠償の支払いを命じたものの、米軍機の飛行禁止に当たる騒音差し止めは退けた。

 原告が訴えた精神的苦痛は騒音だけではない。墜落事故への恐怖や不安も含まれる。現に沖縄では米軍のヘリコプターや戦闘機の墜落が相次いでいる。

 判決は、安全で安心できる暮らしを求めて訴訟に踏み切った住民の願いに応えていない。米軍の飛行は制限されず、不安や怒りはさらに募るだろう。

 那覇地裁は、騒音による睡眠妨害や日常生活での支障など、精神的苦痛や健康上の悪影響を認定した。住民ら3395人に対して約24億5800万円を賠償するよう国に命じている。

 その上で「1970年代ごろには騒音が社会問題となっていたにもかかわらず、今日まで抜本的な防止策は採られず、国は被害を漫然と放置している」と、国の姿勢を厳しく指摘した。

 一方、夜間や早朝などの騒音差し止めについては「国は米軍機の運航を規制できる立場にはない」として認めなかった。

 国の賠償責任だけを認めた第1次爆音訴訟の確定判決(2010年)の枠内にとどまっている。抜本的な対策の必要性を説きながら、騒音を生む米軍機の飛行に関しては踏み込まなかった。

 最高裁は93年、米軍機について「国の支配が及ばない第三者の行為は差し止められない」との判断を示した。その後の騒音訴訟に影響を与えることになった。

 日米は96年、普天間飛行場などに関する騒音防止協定を結んだ。夜間の訓練飛行は必要最小限に制限することなどを盛り込んでいる。だが、協定やその後合意したルールに反した飛行が常態化しているとの報告が絶えない。

 普天間は今、辺野古への移設を巡り県と政府が対立している。政府は移設が危険性を除去するための「唯一の解決策」と訴えるばかりだ。騒音問題を移設促進に利用することも考えられる。

 沖縄にとって辺野古移設は新たな基地負担を強いられることを意味する。政府が辺野古にこだわり続ければ県との対立が激化し、普天間閉鎖が遅れることになりかねない。辺野古を唯一の選択肢とせず、危険性を取り除く方法を探るべきだ。硬直した姿勢のままでは住民の理解は得られない。

(11月18日)

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