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最高裁の審査 期日前投票に続き改善を

 最高裁裁判官の国民審査の仕組みを見直す法案が今の国会で審議されている。

 期日前投票の期間を、同時に実施される衆院選の期日前投票の期間に合わせる。投票のために2度足を運ぶ必要がなくなる。遅ればせながらの改善だ。

 国民審査にはほかに、▽有権者への情報提供が不親切▽海外在住者が投票できない、といった問題がある。速やかに是正したい。

 一人一人の裁判官が「憲法の番人」にふさわしいかどうか、有権者が判断して投票する制度である。法案は衆院を通過して参院に送られている。

 期日前投票の期間は、衆院選が通常の場合投票日の11日前からなのに対し、国民審査は7日前から。4日間短い。

 国民審査の用紙には衆院選と違って、裁判官の名前を印刷するため準備に時間がかかる―。政府は期間を短くしてきた理由をそんなふうに説明してきた。

 大事な投票が技術的な事情で制約されるのはおかしい。政府の説明には説得力がなかった。

 2014年12月の前回。国民審査の投票率は50・90%で衆院選より1・7ポイントほど低かった。毎回同じ傾向だ。期日前投票のやりにくさが一因と考えられている。

 国民審査だけのために投票所を再訪した人に、誤って衆院選の投票用紙をもう一度渡す間違いも起きている。期間を一致させればミスは減るだろう。

 情報提供では工夫すべき点が多い。公報には審査を受ける裁判官が書いた原稿がそのまま載る。一人一人の個性が出る半面、法律用語を多用した分かりにくいものや、木で鼻をくくったようなものも少なくない。例えば審査対象者の記者会見を開けば国民との距離は縮まるはずだ。

 投票方式にも改善の余地がある。辞めさせたい裁判官に×印を付け、白紙は信任と見なされる。全体として信任票が多くなる仕組みになっている。

 棄権票を入れる箱を設置すれば国民の意思をもっと正確にくみ取れるかもしれない。海外在住者の投票制度も急ぎたい。

 国民審査には形骸化の指摘がかねてある。罷免された裁判官はこれまで一人もいない。

 だからといって、やめるべきだという話にはならない。最高裁裁判官を国民の手で辞めさせる道が用意されていることは、国民が主権者であることの証しだからだ。制度を活性化させ関心を高める工夫をさらに重ねていきたい。

(11月21日)

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