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補助金不正 県民への説明を重ねよ

 大北森林組合の補助金不正受給事件はいまだに闇の部分が多い。

 県から渡った14億5千万円余は何に使われたのか。不正に県がどう関わったのか。組合から取り戻せるのか…。

 不正受給された大金は、県民税に上乗せ徴収している森林税を含めた税金だ。県は納税者に説明責任を負っている。

 にもかかわらず、事件公表から2年近くたって初めて開いた県民向け説明会は、あまりに不親切な日程設定だった。

 これで県民に説明済みとすることはできない。県は各地で説明会を重ね、理解を得る必要がある。

 説明会は15日火曜日の午後4時半から県庁で開かれた。その日程を発表したのは、前日だった。都合を付けられる人は限られる。一般参加者は約30人にとどまり、働く世代の姿は少なかった。

 質疑応答で「誰のための説明会なのか」などの批判が出たのは当然だ。質問が続く限り答えた県の対応は評価するが、午後9時前まで長引いたのは、県の姿勢に疑問を持つ参加者が多かったからだ。

 説明会開催は、9月県会での答弁に基づく。議員が「不正は長期に及び、複雑だ。県民に分かりやすく説明する必要がある」と求めた。阿部守一知事は「説明する機会を考える」と答えていた。

 その知事が説明会に出席せず、参加者の不満に輪を掛けた。

 知事は翌日、「周知期間としてあれはない」と述べた。人ごとのような言い方で、当事者意識が薄いといわれても仕方がない。

 説明会で新たに分かったことがある。▽全く事業が行われていないなど架空の補助金申請が森林作業道整備で約4億7千万円に上る▽「1億円以上着服した」と告白した後、逮捕された組合前専務理事の着服額が1億5千万円とみられる―などだ。

 だが、架空申請分のその他の使途は依然はっきりしなかった。県職員の不正への関与も、裁判での証言と県が再聴取した結果が食い違ったままだ。

 林務部と改革推進委員会、検証委員が内容の重複する別々の資料を作って配布したことも、全体像を分かりにくくさせた。参加者は消化不良だったのではないか。

 説明会の2日後、県監査委員も説明責任を果たすよう知事に求めた。知事は18日の記者会見でも次の開催を明言しなかった。

 強制権限のない県の調査に限界はある。今何が分かって、まだ何が分からないのかを丁寧に説明し続けることこそ信頼回復の道だ。

(11月21日)

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