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スポーツ事故 子どもの安全を第一に

 学校の部活動などで子どもが負傷して亡くなったり、重い障害を負ったりする事故が後を絶たない。指導する教員や大人の責任は重い。防止策や負傷した子どもへの適切な対応を徹底することが欠かせない。

 一昨年12月、坂城高校の生徒がハンドボール部の練習試合中に脳振とうを起こし、首の神経を損傷する事故が起きた。8カ月ほど入院し、卒業した今も腕のしびれなどの後遺症がある。

 相手選手の膝が顔面に激しくぶつかったという。部活の顧問は、生徒の意識があることを確認し、数分後に再出場させていた。

 県教委は先週、この事故を受けた再発防止策を発表した。教員だけでなく外部指導者や保護者も対象に研修を充実するほか、脳振とうの危険性を記した掲示物を学校や公共の体育施設に張り出す。

 顧問の対応を「妥当な範囲」としたのは疑問が残るが、母親らの要望に基づき、対応策を示したことは一定の評価ができる。問題は実効性をどう確保するかだ。各学校は形だけでなく対策に力を入れなくてはならない。

 保護者らも認識を深め、重大事故の防止につなげたい。脳振とうは、致命的な脳の損傷につながる恐れがある。そのことは、指導者はもちろん、生徒、保護者も知っておくべきだ。

 短期間に2度目の衝撃を受けると重症になる危険性が高まる。疑いがあったら、ただちに安静にすることが肝心だ。また、回復に時間がかかることを踏まえ、復帰には慎重を期す必要がある。

 けがをしても頑張ることをよしとしたり、勝つことを重視するあまり生徒に無理を強いたりすることが事故を引き起こしていないか。部活指導のあり方を問い直すことも欠かせない。

 柔道の死亡事故も再び起きている。昨年以降、福岡、神奈川、宮城の中学、高校で合わせて3人が部活中に頸椎(けいつい)損傷などで亡くなった。中学校の武道必修化で高まった事故防止の意識が、時間とともに薄れたと指摘されている。

 2014年度までの10年間に、死亡見舞金が支給された学校での事故は250件余に上る。障害見舞金の支給も2千件を超す。見過ごせない件数である。

 なぜ事故は起きたのか、具体的な事例の検証と反省を踏まえて再発防止を図る必要がある。学校や教委には、責任を逃れようと事故を隠す姿勢もいまだに目につく。何よりもそれを改めることから始めなくてはならない。

(11月24日)

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