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「真田丸」の攻防で痛手を被った徳川方は、大坂城天守閣に大砲を撃ち込んだ。これで大坂冬の陣(1614年)の局面は転換する。徳川方は城内の恐怖心を利用して和睦、豊臣家を滅ぼす布石を着々と打つ

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武器をめぐる経済戦争でもあった。両軍が火薬、鉛、大砲、鉄砲の調達に走って価格が高騰。開戦を控えたこの年の秋、堺の英国商人は長崎・平戸の英商館長に書簡で求めた。火薬類の需要が増え、高値で売れるので在庫を全て速やかに送ってほしい―と

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注文があっても英国商人は売り惜しみをして価格をつり上げた。徳川家康もあえて価格高騰をあおっていたふしがある。家康は大砲4門を1400両で、火薬10樽を184両で購入するなど破格の値段で取引したことを英国商人が書簡に書いている。平山優著「真田信繁」で知った

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400年後の現代。武器市場は桁違いに膨らみ、取引は地球規模で広がる。2015年の軍事費は約186兆円(ストックホルム国際平和研究所)。内戦下のシリアを抱える中東などで増えている。武器輸出三原則を撤廃した日本も、市場参入をもくろむ

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大坂の陣で武器高騰は徳川方の大名も苦しめた。兵糧調達も苦労する。平山さんは〈経済戦争は大名や民衆の生活を逼迫(ひっぱく)させ、死の商人を肥え太らせた〉と書いた。現代は手口がより巧妙になり、虎視眈々(たんたん)と戦火をうかがっているはずだ。

(11月24日)

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