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〈本物のビール3本わが爆買い〉。生命保険会社が募集する「サラリーマン川柳」で、ことしの優秀作になった一句。中国人観光客のように思い切ってまとめ買いをしてみたものの…。いつも安い第三のビールや発泡酒で我慢しているお父さんの自嘲か

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味わいは本物とやや異なっても“庶民の味方”に違いない。安いのはビールを定義する酒税法の網をくぐったからだ。350ミリリットルの税金はビール77円に対し発泡酒47円、第三のビール28円。エンドウ豆や大豆のタンパク質も使っている

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女性の“第三のビール党”も多いという。糖質やプリン体を減らした商品は健康志向に合った。いまや安い2種の出荷量は本物と互角だ。これでは税収が減ってしまうとあせったか。今後10年かけ税金を55円程度に統一する―との政府・与党の方針である

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細かく分けると安売り競争を招き、日本製ビールの国際競争力がつかないとも説明している。海外に売り込むのと、税金の区分がどう関係するのか、説得力がない。統一でビールは安くできても、第三の方は大幅値上げが必要になろう

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取りやすいところから取る―は税金の歴史が示すところだ。とりわけビールは会社が少なく増税するのも都合がよかった。制約の中で“ビールもどき”に新たな価値を加えたメーカー。後からルールを変え、その工夫をつぶそうとする国のやり方はえげつない。

(11月26日)

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