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移住策進める地元、驚きと落胆

 大町市と北安曇郡池田町は近年、ともに移住者の定住促進を重視しており、大町市は優遇策も取ってきた。今回の事件で助成金などを受けていた容疑者はいなかったものの、過疎化が進む中、移住者を歓迎してきた住民の間に驚きと落胆が広がった。

 大町市は2012年度から定住促進事業に積極的に取り組み、移住者に3万円分の商品券を贈るなど優遇。市まちづくり交流課によると、商品券や助成金を受け取っていた人は容疑者にいなかった。総務部の市河千春参事は「大半の移住者は地域に受け入れられており、逮捕は定住促進に水を差す行為だ」と憤った。

 池田町も10月に移住・定住促進担当の地域おこし協力隊員2人を採用。空き家の実態調査を進めており、来年度には移住・定住促進の専門部署を設けて本腰を入れる方針だ。甕聖章町長は「方針に変わりはない」と強調するが、事件で、町のイメージダウンや移住者への偏見につながるのでは―と心配する声が庁内で上がっている。

 大町市に移住した男性は容疑者の一部と交流があったという。「大人の自覚の問題。だが、移住者のイメージダウンは間違いない。地域に溶け込もうと誠実に暮らしているのに…」と肩を落とした。

 大町市美麻地区は戦前から良質な麻の産地として知られ、昭和30年代にはほぼ全戸が栽培。旧村名の由来でもある。化学繊維の普及などで衰退した。

 同市美麻の後藤聡容疑者と妻の順子容疑者の自宅近くで暮らす女性(56)によると、夫妻は約2年前に引っ越してきたといい、「都会から芸術家のような人が来た」と感じた。「丁寧な人だった。変わった様子もなかった」。60代男性は「地区の活動に積極的に参加していて、捕まるようなことをするとは思わなかった」と驚いていた。

(11月26日)

長野県のニュース(11月26日)