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大麻汚染 罪の意識が薄くないか

 曲を聴いた感覚がより繊細になったり、自分の作った曲が完璧なものに思えたりした―。大麻を乱用していた30代男性の告白だ。厚生労働省がホームページで紹介している。

 男性は逮捕され、執行猶予付き判決を受けた。その後、結婚し、子どもが生まれた。だが、以前の感覚が忘れられず借金をして大麻を買うように。再び逮捕され、実刑判決を受け刑務所に入った。

 大麻は決して中毒性の低い薬物ではない。大麻を隠し持っていた疑いで逮捕された大町市や池田町などの男女22人に、どこまでその認識があったのだろうか。

 いずれも県内外から過疎の集落に移住していた。自然の中で家庭を築いていた親も多い。子どもがふびんでならない。

 地域のイメージも低下させた。市や町が進めていた定住促進事業に影を落としかねない事態だ。

 厚労省麻薬取締部によると、容疑者らは周辺で音楽イベントを主催するなどして「大麻コミュニティー」をつくり、乱用していたとみられる。

 友人らの証言から浮かび上がるのは、罪の意識の薄さだ。

 複数の容疑者が「(大麻を吸って)きめきめになった(よく効いた)」と話したり、大麻使用が合法な海外の事情を説明したりしていたという。

 世界保健機関(WHO)は大麻を精神毒性、依存症がある有害な薬物としている。国際条約上もヘロインと同様の最も厳しい規制がかけられている。

 大麻は穂や葉に含まれるTHCという成分が脳神経のネットワークを切断する。幻覚や記憶・学習障害などを引き起こし、乱用を続けると、何もやる気のない「無動機症候群」や人格変容に陥る。

 相模原市の障害者施設殺傷事件で逮捕された男も事件前、障害者の殺害を示唆する言動を繰り返し「大麻精神病」などと診断され、措置入院になった。

 大麻事件の検挙者数は一昨年から増加に転じ、昨年は2100人余に上った。その半数を占めるのが20代以下の若者だ。インターネット上ではさまざまな隠語を使って売られている。規制が厳しくなった危険ドラッグから大麻に切り替える若者もいるとされる。啓発と取り締まりの強化が必要だ。

 大麻を含む薬物犯罪は再犯率が高い。刑務所から出て再び手を染めないよう刑期の途中から社会で更生させる一部執行猶予制度が今年6月に始まった。治療態勢も充実させ、汚染を食い止めたい。

(11月29日)

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