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会期延長へ 結論ありきで進めるな

 30日までの今国会の会期は14日間延長の方向になった。自民党総裁である安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表が合意した。

 きょう衆院を通過させ、参院に送付する方針の年金制度改革法案などを成立させるためだ。結論ありきで進めるなら、実のある議論は望めない。

 年金法案は25日、衆院の委員会で自公と日本維新の会の賛成多数で可決された。野党議員の怒号が飛び交う中でのことだ。民進、共産、自由、社民の野党4党は採決を無効だと主張し、厚生労働相の不信任決議案提出などで徹底抗戦する構えを見せている。

 年金の支給水準を抑えるための制度変更が法案の柱だ。現役世代の賃金と物価の変動に応じた年金額改定のルールなどを改める。今は賃金が下がっても物価が上がれば年金額を据え置くのに対し、2021年度以降は賃金に合わせて減額するといった内容である。

 賃金の下落に対して年金が高止まりしている事情がある。現役世代の収入と比べた支給水準は、04年度の59・3%から14年度には62・7%に上昇している。

 制度をどう持続させるか、少子高齢化を踏まえて掘り下げるべきなのに議論はかみ合わない。「年金カット法案」と批判する民進などに対し、首相は「将来の年金水準確保法案だ」と反論する。政府与党、野党ともに党利党略にとらわれていないか。

 法案が国会に提出されたのは3月だ。7月に参院選があり、与党は審議を先送りした。今国会で成立を目指すのは、来年の通常国会で政権の看板政策である「働き方改革」の法案審議が予定されることや、来夏の東京都議選に影響しかねないとの懸念からだ。

 一方、民進には国民の関心が高い問題で支持を広げたい思惑がうかがえる。安倍首相は第1次政権時に年金問題で支持率を落とした経緯がある。今回の法案審議で再現を狙っているのだろう。

 年金をはじめ、社会保障制度の改革では給付削減や負担増の検討が避けて通れない。不人気な政策だけに党派の対立を超えた議論が求められる。非難応酬の国会の現状は、あるべき姿に程遠い。

 与党は数の力で強引に成立させるべきではない。野党は法案を批判するだけでなく、改善策を提案する必要がある。

 「社会保障と税の一体改革」が事実上破綻し、将来像は見えないままだ。国民に新たな青写真を示せるよう与野党は議論の土台を整えなくてはならない。

(11月29日)

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