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斜面

色つやの良い真っ赤な実がたわわに実っている。下伊那郡豊丘村堀越地区を中心に栽培されているナンテン「越錦(こしにしき)」だ。地元の農家武田久さんが品種改良に取り組んで独自に開発し、普及にも力を注いできた

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武田さんは昨年7月に82歳で亡くなった。長年、一緒に作業をしてきた妻の佳代志(かよし)さんが引き継いでいる。傾斜地にある畑のナンテンは今年も見事に色付いた。青空の下、房をはさみで切り箱詰めする収穫が始まった―。そんな記事が昨日の本紙に載った

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ナンテンを植栽に使った記録は鎌倉時代にさかのぼる。藤原定家が1230年に「明月記」に書き留めている。江戸時代に庭木として普及した。今では植栽の需要は減ったが「難を転じて福となす」縁起物として欠かせない。正月飾りに加え最近はクリスマスリースに使われている

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ナンテンは果樹や野菜に比べ管理の手間が少ない。農家の高齢化が進む山間地に適している。栽培農家は増え、飯田下伊那は全国有数の産地に育った。課題は価格の変動が大きいことだ。今年は全国的に豊作で価格の低迷が心配(みなみ信州農協)という

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災難続きの年だった。4月には強い地震が熊本を襲い、人命や生活基盤を奪った。8月の台風10号は東北や北海道に甚大な被害を出した。今日から師走。足早に過ぎ去っていく1年を振り返りつつ、新年こそ難が福に転じてほしいと願う。

(12月1日)

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