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カジノ推進法 有害不要な施設 廃案を

 国内にカジノをつくるための統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が衆院内閣委員会で審議入りした。

 カジノ設置はギャンブル依存症の増加、治安悪化、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用など心配なことが多すぎる。廃案にすべきだ。

 IRはホテルや会議場、劇場、遊園地などを併設する複合施設を指す。カジノはその目玉になる。自民、旧維新などの議員立法で昨年、提出されていた。

 政府が制度設計を進め、法施行から1年以内をめどに必要な法整備を行うよう定めている。実際には民間の事業になる。

 疑問だらけの法案だ。第一に刑法の賭博罪との整合性が取れない。社会的に有害だからこそ、法は賭博を禁じているはずだ。カジノに限ってなぜ解禁するのか、筋道の通った説明はない。

 第二にギャンブル依存症が増える心配がある。日本には競輪、競馬などの公営ギャンブルに加えて「遊技」のパチンコがある。

 厚生労働省研究班の2年前の調査によると、依存症の疑いがある人は推計536万人、成人の4・8%にのぼる。世界の主要国に比べて数倍多い。

 本来なら目の前に広がる依存症問題への対応を急ぐべきなのだ。新しくギャンブルを公認するのは方向が逆を向いている。

 自民党内には、利用できるのは訪日外国人だけとして日本人には禁ずる考えがある。危ない遊びだから外国人だけ、というのは道徳的にも問題がある。

 信濃毎日新聞などが加盟する日本世論調査会の昨年の調査では、設置への反対は65%にのぼり賛成の30%を上回った。反対する理由では「ギャンブル依存症の人が増える」「設置した地域の治安が悪化する」「子どもの成長に悪影響を及ぼす」が多かった。

 自民党は14日が会期末になる今国会での成立を目指して審議入りを急いだ。民進党は反対して委員会を欠席している。

 議員立法は与野党合意の上で進めるのが慣例だったはずだ。自民のごり押しの背景には、今のうちに成立させて来夏の都議選に響くのを避ける思惑がありそうだ。政局絡みの党利党略だ。

 日本を訪ねる外国人観光客が増えている。外国の人にとって日本の魅力は何だろう。豊かな自然や磨き上げられた文化が日本の吸引力になっている。カジノが「成長戦略の目玉になる」という安倍晋三首相の皮算用は、目算外れになる可能性が高いのではないか。

(12月2日)

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