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もんじゅ代替 国民無視の延命策だ

 1兆円以上の国費を投入し、運転日数は初臨界以降の20年余で250日―。

 「夢の原子炉」とされた高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実態だ。失敗は明らかだ。政府が廃炉を前提に見直す方針を決めたのは当然である。

 それなのに政府は代替施設の開発に動こうとしている。開発の工程表策定を来年から始めるという。もんじゅ廃炉後の高速炉の方向性を議論する「高速炉開発会議」で骨子案を示した。

 もんじゅは、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び使用する核燃料サイクルの中核施設だった。

 なぜ失敗したのか、責任はどこにあるのか―。政府は一つ一つ検証し、明らかにするのが筋である。その上で核燃料サイクルが必要なのかどうか、国民が議論して選択するべきだ。このまま核燃料サイクル政策を継続し、代替施設の開発に国費を投じることは国民が納得しないだろう。

 高速炉開発会議の進め方にも問題がある。

 10月の会合で「(原型炉の)もんじゅの次段階となる実証炉の設計開発に着手できる技術がある」との認識を共有した。なぜそう言い切れるのか。明確に説明しなければならない。

 メンバーは原子力政策全体を担当する世耕弘成経済産業相、もんじゅを所管する松野博一文部科学相のほか、電気事業連合会会長、日本原子力研究開発機構理事長らだ。いずれも、もんじゅ計画を推進してきた立場だ。さらに会議は非公開である。

 技術的な問題の検証には第三者の視点が欠かせない。廃炉後の方向性を“身内”が密室で議論しても失敗を繰り返すだけだ。

 核燃料サイクルは既に破綻している。使い道が明確でないまま再処理を続けた結果、日本は核爆弾6千発分とされるプルトニウム約48トンを保有している。

 プルトニウムを加工した混合酸化物(MOX)燃料を一般原発で燃やすプルサーマル発電も、使用済みMOX燃料の処理方法が決まっていない。原発内の燃料プールで保管し続けるしかない。

 再稼働する原発が多くなれば使用済み核燃料が増える。安全保障上の国際的な懸念も高まる中、再処理を続けるのか。「核のごみ」が増え、次世代につけを残すだけだ。もんじゅ廃炉を機に原発政策全体を見直して、使用済み核燃料の最終処分にも道筋をつけなければならない。

(12月2日)

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