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次期駐日大使 パイプの役割より重く

 米国の次期駐日大使にトランプ氏の側近で政権移行チーム幹部のハガティ氏が起用される見通しとなった。

 トランプ氏は大統領選で貿易赤字を招く日本をたびたび攻撃してきた。在日米軍駐留経費の負担増を求める考えも示した。

 ハガティ氏は日米のパイプ役であると同時に、トランプ氏が掲げる「米国第一主義」実現のための交渉請負人でもある。

 トランプ氏が側近を充てたことで日米関係を重視した人事と期待する向きもあるが、楽観論に傾くのは禁物だ。厳しい姿勢で臨んでくるかもしれない。発言や行動を冷静に見ていきたい。

 ハガティ氏は米国の有力コンサルティング会社に勤務し、日本には約3年間滞在したことがある。その後、ホワイトハウス職員として通商政策に携わったり、テネシー州政府の経済開発責任者を務めたりしている。

 昨年7月にトランプ氏の陣営に参加。政権移行チームでは政界や経済界に築いた人脈を生かし、閣僚など大統領が指名する政治任用人事を担当していた。

 経歴は華々しいけれど、知日派と呼べるほどの人脈は日本にはない。駐日大使起用は論功行賞の意味合いが強いようだ。

 日米は安倍晋三政権とオバマ政権の下、安全保障を軸に関係を深めた。米軍普天間飛行場の辺野古移設に象徴される両政府の強引な姿勢に、沖縄では反発や不信を強める結果を招いている。

 中国の海洋進出や北朝鮮の核開発、韓国の政治的混乱など、日本を取り巻く各国情勢も緊迫の度合いが増す一方だ。

 トランプ氏の外交方針は今もはっきりしない。日米関係の悪化も辞さない構えのようにもみえる。トランプ氏は新工場の建設をメキシコで進めているトヨタ自動車に対し、「米国に工場を造るか、巨額の関税を払うかどちらかだ」と強く迫った。日本の経営者の間で懸念が広がりそうだ。

 今後、日本から自由貿易や安保政策を巡ってトランプ新政権に厳しい注文を付ける場面もあるだろう。パイプを務める駐日大使の役割や責任は重くなる。

 ルース前大使やケネディ大使は米国が原爆を落とした広島や長崎、激戦地となった沖縄を訪れるなど、積極的に活動した。

 ハガティ氏が日米の歴史とどう向き合うかも注目しなくてはならない。一般人も含めた幅広い層の声に耳を傾け、日本への理解を深めてもらいたい。

(1月11日)

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