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三菱電機送検 違法残業の病巣は深い

 大手企業の違法残業がまた発覚した。

 今度は三菱電機である。入社1年目の男性社員に、労使協定(三六協定)で定めた上限を超える残業をさせていたとして、法人としての同社と当時の上司が労働基準法違反の疑いで書類送検された。

 男性は過労死ラインとされる月80時間の2倍に当たる160時間の残業をしたにもかかわらず、59時間30分と過少申告するよう指示されたという。精神疾患を発症し、病気療養の期間を過ぎたため解雇されている。

 昨年末には広告大手の電通と幹部が書類送検されたばかりだ。電通では女性新入社員が違法残業を強いられた末に自殺した。

 三菱電機は国内を代表する総合電機メーカーの一つである。今回の容疑は、業界の枠を超えて問題が広がっていることを浮き彫りにした。企業が抱える病巣は深い。早急な対策が求められる。

 政府は働き方改革実現会議で長時間労働の防止策を検討しており、3月に方針をまとめる。労働時間の上限を法制化し、違反企業に対する罰則を大幅に強化するべきだ。労働時間の過少申告を社員に強いた場合の罰則も強める必要がある。

 経済界には上限設定や罰則強化には慎重な意見が根強い。それに配慮して中途半端に終わると、長時間労働は是正されない。抜本的な対策を求める。

 三菱電機の違法残業容疑では、企業の体質や意識に根差す問題があることも改めて示している。

 新入社員の男性は、長時間労働で食事を取れなくなり、手が震えるなどの体の異変を感じるようになった。上司は「中学生でもできるぞ」など、あざ笑うかのような言葉を何度も浴びせたという。

 電通では社員の心構えを示す「鬼十則」が問題になった。「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並び、社員手帳にも書かれていた。

 2015年に労災認定された過労死は96件、過労自殺(未遂含む)は93件と高止まりが続く。認定された事例は氷山の一角とされる。社員の健康より仕事を優先する風潮は、問題となった企業に限られないだろう。

 経団連の榊原定征会長は今年の新年祝賀会後の記者会見で、長時間労働の是正などについて「重要課題として取り組みたい」と述べている。労働問題への対応を誤ると企業の信頼が損なわれるという意識を持ち、改革に取り組まなければならない。

(1月12日)

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