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福島原発廃炉 超高線量の過酷な現実

 前途の険しさが改めて突きつけられた。

 事故を起こした東京電力福島第1原発の三つの原子炉のうち、2号機の格納容器内の空間放射線量が推定で最大毎時530シーベルトに達することが分かった。数十秒の被ばくで人が死亡するレベルである。

 これだけの線量だと電子機器は2時間足らずで故障し、作業ロボットは動けなくなる。廃炉の先行きはますます不透明だ。

 カメラによる調査では、格納容器内に黒っぽい堆積物があることも分かっている。核燃料が周りの構造物を巻き込んで溶け落ちたデブリとみられる。燃料が圧力容器を突き抜け、格納容器の中に落下したのは確実だ。

 原子炉直下にある格子状の作業用足場に1メートル四方ほどの穴が開いていることも分かった。

 今の計画では、廃炉作業の段取りを考えるためにロボットを入れて格納容器の内部を調べることになっている。超の付く高い放射線量で、しかも格子には穴が開いている。調査計画の見直しは避けられそうにない。

 2021年に1、2、3号機のうちのどれかで燃料の取り出しを開始する工程表を、政府と東電はまとめている。圧力容器、格納容器や原子炉建屋を解体して作業がすべて終わるまでに最大で40年かかるとしている。

 事故から間もなく6年になる。デブリ調査は最初のステップだ。判明しつつある事実は先行きの困難を見せつける。

 汚染水対策や使用済み燃料搬出も遅れている。今後、工程全体についても見直しを余儀なくされる可能性が高いのではないか。

 福島原発の三つの原子炉のうち2号機は損傷の程度が比較的軽いとみられている。その2号機でさえこの状態だ。1、3号機はどうなっているか考えると空恐ろしくなってくる。

 1979年の米スリーマイルアイランド原発の事故では核燃料は10年余りで取り出すことができた。燃料が圧力容器内にとどまり格納容器内に落ち込まなかったことが幸いした。86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故では燃料取り出しを断念し、原発全体をコンクリート製「石棺」と金属製のシェルターで覆った。

 圧力容器を突き抜けて落下したデブリを取り出した例は、これまで世界にない。

 原子炉内の調査が進めば進むほど作業の難しさが際立ってくる。原発はやはり、人間社会とは共存できない。

(2月4日)

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