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天皇退位論議 開かれた場に移すとき

 天皇陛下の退位を巡る法整備について、衆参両院の正副議長が各党から意見を聞いた。

 与党は今の陛下一代限りの特別法の制定、野党の多くは皇室典範改正による退位の恒久的な制度化を主張している。

 「国民の総意に基く」と憲法が定める天皇制度についての検討作業である。これからは議論の場を国会に移し、国民に開かれた形で進めるべきだ。

 自民、公明の与党は特別法で対応する理由について、将来にわたる退位要件を定めるのは難しいことなどを挙げた。

 民進、共産、自由、社民の野党各党は皇室典範の抜本改正を求めた。民進党などには、女性宮家の創設といった問題にも論点を広げたい考えがある。

 「特別法の与党」対「典範改正の野党」の構図である。

 特別法と典範改正には一長一短がある。どちらが国民と皇室にとっていい結果をもたらすか、判断は難しい。

 こういう問題こそ、国民が見ている前で議論すべきだ。

 衆参の正副議長が各党から個別に意見を聞いたのは、安倍晋三首相から法案提出前の意見調整を求められたからである。

 行政府の長から立法府の長への要請―。異例のことだ。

 首相は「政争の具にしてはならない」など、水面下の調整を促す発言を繰り返している。大島理森衆院議長も呼応するように「静かな環境で」などと述べる。

 退位の法整備について与野党が公開の場で議論することは、問題を「政争の具」にすることなのか。そうではあるまい。

 国会は国民を代表する。国会審議は「国民の総意」をまとめる作業そのものだ。論戦を避けるやり方には賛成できない。

 正副議長の意見聴取に向け、自民党は幹部ら14人による会合で党としての見解をまとめたという。意見を言いたい議員は文書で出すことができただけ。会合への出席は認められなかった。

 一部の幹部による見解取りまとめに対し、石破茂元幹事長はこんな言い方で苦言を呈している。「静かに議論するというのは、ごく一部の人によってクローズでやるということではない」

 うなずく人は多いだろう。

 退位の法整備について各党の基本的な考えは明らかになった。あとはそれぞれ法案にまとめ上げ、国会に提出して侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をすればいい。それが「言論の府」というものだ。

(2月22日)

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