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大北事件勧告 重く受けとめ再調査を

 大北森林組合(大町市)の補助金不正受給事件で、県監査委員が関係した県職員に対する損害賠償請求を検討するよう阿部守一知事に勧告した。

 組合の補助金不正申請を受けて県職員が必要な検査をしなかったため、国が県に課した加算金約3億5300万円が対象である。

 県はこれまで、採用抑制や超過勤務手当削減で財源を賄うと説明してきた。人件費削減で穴埋めするのは、県民サービスの低下につながりかねない。それでは県民は納得しないと監査委員が判断したといえる。

 阿部知事は16日に開会した県会2月定例会で、組合や組合前専務理事らへの損害賠償請求に向け、弁護士らによる委員会を設ける考えを表明。本会議後の記者会見では、加算金を請求検討の対象に加える方針も示した。委員会には、加算金などを損害賠償の請求対象に含めてこなかった従来方針について、意見を聞くという。

 それだけでは不十分だろう。事実経過の解明が不足している。

 森林組合の前専務理事が補助金適正化法違反などの罪に問われた裁判では、県が不正にどう関与したか、その度合いを巡って、組合側と県側の主張が対立した。

 県が設けた検証委は2015年7月にまとめた報告書で、将来も森林作業道整備が行われない「全くの架空申請」を認めた職員はいなかったと判断し、「主導的な実行者は組合」と結論付けた。県もその主張を踏襲し、公判で証言した県職員も同様に主張した。

 それに対し、組合職員らは「(架空請求を)県も容認していると思った」と証言。前専務理事も被告人質問で「既設の道路を新たに開設したとして申請すればいい」と県職員に言われたと述べた。

 3月に予定される判決では、県職員の関与の度合いがどう認定されるかが争点になる。書類送検された県職員4人が起訴猶予になったため、裁判は県の不正への関与を十分に審理する場になったとはいえないだろう。

 組合の架空請求に対し、県職員がどこまで認知し、関与していたのか。判決にかかわらず、事実関係を再調査することが必要だ。それがなければ、関係した県職員らに損害賠償を求めることができるのか判断できない。

 田口敏子代表監査委員は「県民の関心は強く、深いものがある」と述べた。県は重く受け止めなければならない。県会も調査に強制力を持つ百条委員会を設置し、県民の疑問に応えるべきだ。

(2月22日)

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