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金正男氏殺害 国家テロの疑い強まる

 マレーシアの空港で金正男氏が殺害された事件は、北朝鮮による国家テロの疑いが強まった。最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長への国際的な批判はますます強まるだろう。

 在マレーシア北朝鮮大使館の書記官と国営高麗航空職員の2人が事件に関わった疑いが濃くなったとして、マレーシア警察が大使館側に事情聴取への協力を求めた。警察のトップは記者会見で、逮捕状による強制捜査も辞さない姿勢を示した。

 マレーシア政府は、大使館を閉鎖して大使を追放する可能性にも言及している。

 大使館職員は赴任地で国家を代表する。外交官には不逮捕特権も与えられる。高麗航空は準国家機関とも言える存在だ。

 館員と職員を容疑者と特定し、場合によったら逮捕、追放する―。マレーシアと北朝鮮の国家主権がぶつかる構図である。

 首都の空港で白昼、外国要人が大使館員の関与によって殺された疑いが持たれている。マレーシア政府にとって、うやむやにするわけにはいかない事件である。

 警察が強い姿勢でいるのは、捜査に自信をもっているからでもあるのだろう。北朝鮮はますます苦しい立場に追い込まれた。

 北朝鮮大使館は声明を出して警察の対応を批判したものの、説得力は乏しい。

 北朝鮮はこれまでも何度か国家テロに手を染めている。1983年、ビルマ(現ミャンマー)で起こした爆弾テロ「ラングーン事件」では21人が死亡した。

 87年の大韓航空機爆破事件では115人が死亡している。実行犯の一人だった金賢姫工作員(当時)が服毒自殺に失敗して拘束されたのはその時だ。

 日本人拉致事件でも北朝鮮は誠実な態度を見せようとしない。調査をやり直す、との約束を何度もほごにしている。

 そうした犯行、非道を重ねてきた国が捜査を批判しても、国際社会は耳を傾けない。

 東南アジアの国々は従来、北朝鮮に対しては比較的友好的な態度を取ってきた。マレーシアにはビザなしで入国できる。

 今度の事件で東南アジア諸国との溝も深まるだろう。

 正男氏は中国が保護下に置いてきたとの見方もある。仮にそうだとしたら、中国との関係も冷え込む可能性がある。米国が制裁重視に傾くかもしれない。

 国家テロの付けがこれから北朝鮮に重くのしかかる。

(2月24日)

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