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科学省長官の天馬博士は、交通事故死した息子をよみがえらせるためロボットの製造に血眼になる。やがて完成したロボットは博士の胸に抱かれ、命じられるままに言葉を発する。「オ…ト…ウ…サ…ン…」

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鉄腕アトム誕生の物語だ。故手塚治虫さんが原作の連載を始めた1952年から二十数年後、別の作品に詳しく描いている。人間として厳しく教え込まれたアトム。その目にひらめきとうるおいが表れる。1カ月後には喜びの回路が笑いの表情をつくる―

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物語の設定は2003年なので科学は追いついていないが、この計画は夢が膨らむ。アトムそっくりの人工知能(AI)搭載ロボットを開発する「ATOMプロジェクト」だ。第1弾として講談社が4月に創刊する週刊誌に付属するパーツを、読者が組み立てロボットを完成させる

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顔認識で家族や友人らを12人まで覚え、相手に合わせて会話ができる。クラウドから情報を得て、会話を重ねるほど話題が広がり、親密度が高まるという。介護施設で高齢者と対話するロボットの技術を8年間にわたって蓄積してきた企業が参画している

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人のために生まれ人を殺傷しない―。鉄腕アトムの世界の「ロボット法」だ。一方で人間の身勝手はロボットに犠牲を強いる。博士は身長が伸びないからとアトムを売り飛ばした。手塚さんが問い続けたのは人間とロボットの共生である。

(2月24日)

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