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緊急発進強化 中国との対話を急げ

 防衛省が航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)の態勢を大幅に強化した。

 尖閣諸島周辺での中国軍機の活動を念頭に置いた措置である。緊張の高まりが心配だ。偶発的な衝突は避けなくてはならない。

 領空侵犯の恐れがある航空機を発見した場合に戦闘機などを発進させるのがスクランブルだ。接近して状況を確認し、必要なら行動を監視する。領空侵犯が発生すれば、退去の警告などをする。

 防衛省は、従来の戦闘機2機での対処から4機に増強した。1958年に領空侵犯に対する空自の任務が始まってから初めてのこととみられる。

 4機のうち2機は後方で相手機の行動を監視し、追加の飛来を警戒する。早期警戒機などの飛行も増やし、連携を強めている。

 中国は2013年、東シナ海上空に防空識別圏を設定した。領空の外側に設ける空域でスクランブルをする一つの基準になる。既にあった日本の防空識別圏と大きく重なる形で一方的に定めた。各国が独自に設けられるとはいえ、乱暴なやり方だった。

 双方の戦闘機のスクランブルが尖閣周辺で急増している。防衛省によると、日本の16年度のスクランブルは1月末で千回を超え、これまでで最多だ。中国軍機と自衛隊機の異常接近も過去に起きている。力と力で張り合えば、不測の事態が起こりかねない。

 尖閣周辺では中国公船の領海侵入が常態化してもいる。

 日中関係は東アジアの安定にも関わる。とりわけ、弾道ミサイル発射などで挑発を繰り返す北朝鮮に対し、連携して圧力を強めるときだ。いつまでも対立しているわけにはいかない。

 1月の施政方針演説で安倍晋三首相は、今年の日中国交正常化45周年、来年の日中平和友好条約締結40周年という機を捉え、大局的な観点から関係改善を進めると述べた。2月の外相会談では改善へ努力することで合意している。

 対話を加速させ、中国に自制を求めなくてはならない。

 偶発的衝突を避けるための「海空連絡メカニズム」を整えることが急務である。防衛省と中国軍当局とのホットライン設置など相互の連絡方法を定めるものだ。

 両国は07年、体制整備で一致した。その後、首脳会談などで繰り返し取り上げられながら、なかなか実現しない。万が一、衝突が起きれば、日中関係は危機的な状況になる。早期運用開始を強く働き掛けなくてはならない。

(2月28日)

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