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ロヒンギャ迫害 早急な人道支援が必要だ

 ミャンマーで暮らすイスラム教徒の少数民族、ロヒンギャの人々に対する迫害問題が深刻化している。

 昨年10月、ロヒンギャとみられる武装勢力が警察や軍の施設を襲撃した。治安当局は報復として大掛かりな掃討作戦に乗り出した。

 事件と関係ない人々が殺害されたりレイプされたりし、これまでに6万人以上が難民となってイスラム教国である隣のバングラデシュなどに向かったとされる。見過ごせぬ人道危機である。

 国連やイスラム諸国などは迫害をやめるよう強く求めているが、ミャンマー政府に本気で取り組む姿勢が見えない。

 テロを誘発し、混乱が周辺地域に拡大する恐れがある。国際社会は傍観せずに、解決に向けて本腰を入れなくてはならない。

 ロヒンギャはミャンマー西部のラカイン州を中心に、約80万人が暮らしている。この地には古くからイスラム教徒が住み着き、19世紀以降は周辺地域からも流入。増えていったとされる。

 1970年代、当時の軍事政権による迫害が始まった。法律によって不法入国者とされ、移動の自由などが奪われた。国民の約9割を占める仏教徒との対立も深め、重大な人権問題として認識されるようになっていった。

 ミャンマーは軍政に終止符を打ち、昨年3月、文民政権が発足した。軍は今も政治に大きな影響力を温存している。しがらみがロヒンギャ政策の転換を難しくしているようにみえる。

 民主化の象徴で、国家顧問兼外相に就任したアウン・サン・スー・チー氏も軍や仏教徒との関係悪化を恐れてか、解決への意気込みが伝わってこない。

 ロヒンギャの人々の間では、政治体制が変われば平和に暮らせるようになると考えていた人が多かったはずだ。しかし、何も変わらなかった。失望感を募らせる結果を招いたのではないか。

 昨年秋の襲撃事件の背景は分からない面が多い。こうした状況と無関係とは思えない。

 ロヒンギャに対する迫害を巡っては昨年12月、東南アジア諸国連合(ASEAN)が臨時外相会議を開いたが、踏み込んだ協議に至らなかった。先週開いた外相会議でも「ミャンマーの内政問題」で済まされている。

 とてもミャンマー一国だけで解決できる問題ではない。日本も含め、各国は避難民への人道支援を急ぐとともに、ロヒンギャ問題への関与を深める必要がある。

(2月28日)

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