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ライチョウ保護へ動物捕獲 南ア北岳周辺で環境省

南アルプス仙丈ケ岳でライチョウを調査する中村名誉教授ら=2016年9月、伊那市南アルプス仙丈ケ岳でライチョウを調査する中村名誉教授ら=2016年9月、伊那市
 絶滅の恐れがある国特別天然記念物「ニホンライチョウ」の保護策を話し合う環境省の有識者検討会は28日、生息数の減少が深刻な南アルプス北岳(山梨県、3193メートル)周辺で今夏から3年間、ひなを捕食しているとされるキツネやテンを試験的に捕獲する事業を行うと決めた。国立公園の特別保護地区内でライチョウ保護のために野生動物を捕獲するのは初めて。同省は、捕獲の効果を検証しながら取り組みを進める。

 検討会で、関東地方環境事務所(さいたま市)野生生物課の黒沢純課長補佐は「専門家、山岳関係者を含めた会合を開き、技術的な意見を聞きながら慎重に進めたい」と説明した。委員で中村浩志国際鳥類研究所(長野市)の中村浩志代表理事(信州大名誉教授)は会合後「捕食動物の対策に踏み込んだことは評価したい。この地域で技術が確立されれば、長野県内を含む他の生息地でも応用できる可能性も出てくる」と期待した。

 中村氏らの調査によると、北岳と南側の間ノ岳で1981年に64あったライチョウのなわばり数は、昨年には12に減少。なわばり数は個体数のおおよそ半分とされており、環境省などの調べでキツネやテンによる捕食の可能性が指摘されていた。環境省は試験捕獲を通じて「減少要因をはっきりさせ、捕獲方法を検討する」とした。

 同省は、野生動物の捕獲が厳しく制限されている国立公園特別保護地区での捕獲に向け、既に省内の担当部局の許可を得たという。キツネやテンは鳥獣保護法でも保護されており今後、管轄する山梨県に許可申請する。

 北岳一帯では、同省が2015年度からライチョウの生存率を上げるためにひなを6〜7月にケージ(籠)で保護している。試験捕獲もその時期に合わせ北岳から間ノ岳にかけての計3カ所で実施する予定だ。

 捕獲方法は餌を入れた金属製の籠に誘い込む「籠わな」を採用。同省は「他種の野生動物が捕まっても傷つけずに逃がすことができる」とし、捕まえたキツネなどは解剖して胃の内容物を確認する。一帯でライチョウのひなの生存率も調査し、15、16年度に調べた結果と比較、効果を検証する。

 一方、人工飼育を進めるため、15〜16年に北アルプス乗鞍岳で実施した卵の採集は人工ふ化で雄と雌が確保できたとして、今年は見送ることを決めた。採集した卵からは計15羽が順調に育ち、上野動物園(東京)などで分散飼育していた。ただ、昨年12月には大町山岳博物館(大町市)から2羽が逃走。雄は近くで捕獲されたが、雌は見つかっていない。

(3月1日)

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